道教

行く前に知っトク!台湾で出会う「道教」とは?

2020年6月28日

どうも!台湾でら好き易者、晋之助です。(「易」についてはこちらの記事へ)

台湾観光の楽しみ方といえば、「夜市などのグルメ」「幻想的な風景の九份」「歴史的な建造物」など数えきれないくらいありますが、道教の寺院である「廟(びょう)」を訪れるのも非常にオススメです。

荘厳な空気感とむせかえるような極彩色をまとった廟は、遠くから見ても存在感たっぷり。

日本の神社やお寺と違った荘厳な雰囲気に、パワースポット好きの私たち日本人も心から圧倒されることになるはずです。

しかし、事前準備なしにただ訪れるだけではもったいない!

「人の願いが100あれば、それを叶える神様も100存在する」と言われる、何とも壮大な道教の考えを知っトクと台湾観光が何倍も楽しめるはずです。

それでは道教について知っていきましょう!

台湾パワースポット!街中に見る道教

最強パワースポット龍山寺

台湾の寺院といえば、超有名な台北の龍山寺(ロンシャンスー)

本尊は観世音菩薩なので仏教色も見られるのですが、孔子や関帝(道教で神となった三国志の関羽)など儒教や道教といった様々な宗教が習合しています。

そんな背景から龍山寺には神様が100以上祀られており、縁結び・健康・学問・勝負必勝などご利益の範囲は多岐にわたります。

お悩みがある人もそうでない人も、とりあえず訪れてみて損はありません。

 

台湾の生活に根付く道教

台湾のあらゆる街(町)を歩いていると、道教の廟が「すっと」現れることがよくあります。

道教の教えは民間信仰により今日まで栄え、道教系のお祭りや婚礼葬儀などが生活レベルで息づいています

台湾は多宗教であり、憲法によって宗教の自由が認められています。その中で道教は人口の33%が信仰している(2017年7月時点)ようで、お気づきの通り道教は多神教の宗教です。

自然発生的に神様が増えていく道教は、「八百万の神」という言葉がある日本の神道と通じるところがありますね。

 

廟のお参り方法とおみくじの引き方

①境内に入る

境内に入るときは向かって右側の門から入りましょう。逆に出るときは左側の門から。

「悪霊は右回りに移動する」という言い伝えがあるようで、その方向とは逆に進むべし、ということでしょう。

さらに気を付けるべきなのが、門の敷居は踏まずに左足から入ること。日本にも同じような決まりがありますね。

 

②お線香を買う

日本の神社仏閣のお参り方法と違うのは、台湾では「お線香を持って」お参りをするところ。

廟によっていらっしゃる神様の数は異なりますが、存在する神様のそれぞれにお線香をあげるため、お線香は複数本必要になります。

お線香を購入し(または無料提供している廟も)、すべてのお線香に火をつけたら次に進みましょう。


【注意】
環境保護の観点から、お線香の使用を禁止している廟・寺院が増えてきています。龍山寺は2020年3月13日より禁止となりました。台北では三国志関羽を神格化した関帝が祀られる行天宮でも禁止です。

お線香が使用できない場合は、代わりに合掌をしてお参りします。

 

③境内の回り方

上記にもあるように、一つの廟に複数の神様が祀られているのでお参りにも順序があります。

大多数の廟では順路が掲示されているため、それを参考にしながらお参りをしていきます。

 

④お参り(拝拝)の仕方

さぁいよいよお参りです。ちなみにお参りのことを「拝拝」(バイバイ)と言います。拝拝の手順は以下の通り。

  • ・順路に従い、お線香を持って香炉の前に行く(お線香は左手で持って右手は添えるように)
  • ・香炉の前に立ち、神様に3回礼をする
  • ・自分の名前、年齢、生年月日、住所を告げ、願い事を具体的に唱える
  • ・線香を香炉に投げるように挿す
  • ・神様にお礼をして次の香炉へ

台湾の神様は曖昧さを嫌います。具体的に自己紹介をし、具体的に願い事を伝えましょう

言語より想いの強さが重要なので、もちろん日本語でお参りしてもOKです。

 

⑤台湾式おみくじと赤い糸

お参りが終わったら廟を後にしてもいいのですが、まだ時間に余裕があってもっと台湾文化を楽しみたいという人はおみくじに挑戦してみましょう。

台湾式おみくじは「擲筊(ポアポエ / ポエ占い)」と言い、日本のおみくじと違って引くまでがかなり大変。

ポエ占いは筊杯(ジャオベイ)と呼ばれる赤い半月型の道具を使います。

 

photo by Leo HSU

 

この筊杯(ジャオベイ)を2つ手に取り、以下の順番でおみくじを引きます。

  • 1. 自分の名前、年齢、生年月日、住所を告げる
  • 2. 「○○について教えていただきたいので、おみくじを引かせていただいていいでしょうか」と神様に聞く
  • 3. 手のひらに2つの筊杯(ジャオベイ)をのせて眉間の高さから地面に落とす
    ※筊杯を手のひらにのせるときは、平たい面を上にして2つを背中合わせの ⦆⦅ の形にしてのせる
  • 4. 地面の筊杯が表と裏の組み合わせになればOKなので次の5に進み、それ以外の組み合わせは1に戻る
    (1に戻ったら神様に聞く内容を微妙に変えて再挑戦)
  • 5. おみくじの中から「これだ」と思うものを選び、番号を覚える
  • 6. 「このくじでいいでしょうか」と神様に聞き、また筊杯を投げる
  • 7. 表と裏ならその番号のおみくじをもらい、それ以外の組み合わせは5に戻って再度くじを選ぶ

おぉ、ポエ占いって大変。。神様からのOKが出ないとおみくじは引けないのです。

しかも本来の正式な習わしなら筊杯(ジャオベイ)を投げたあと、表裏の組み合わせが3回連続で出るまでは神様が受け入れてくれないとみなされているので、その都度お願いごとを変えたりお供え物の数やグレードを上げたりするようです。

観光で訪れている人にとっては時間的にハードル高いので「表裏の組み合わせが1回出たらOK」という簡略式で行うのが普通です。

また、縁結びの神様である「月下老人」で赤い糸をいただくときも、筊杯(ジャオベイ)を使っておみくじと同じような手順を行います。

  • 1. 自分の名前、年齢、生年月日、住所を告げる
  • 2. 結ばれたい相手の名前、あるいは良い出会いがあるよう唱える
  • 3. 手のひらに2つの筊杯(ジャオベイ)をのせて眉間の高さから地面に落とす
    ※筊杯を手のひらにのせるときは、平たい面を上にして2つを背中合わせの ⦆⦅ の形にしてのせる
  • 4. 地面の筊杯が表と裏の組み合わせが3回連続で出ればOK
    (失敗したら1からやり直し)
  • 5. 赤い糸をいただく
  • 6. 香炉の周りを時計回りに3周する
  • 7. 赤い糸は財布に入れるなど普段持ち歩く

おみくじと比べると工程が多少ラクなので、時間に余裕があれば正式な形に則って筊杯(ジャオベイ)を投げて表裏の組み合わせが3回出るまで行いましょう。

神様は見てくれているので、苦労をした方がきっと報われます。

 

道教の歴史とその神様

道教の成り立ち

最後に、簡単ですが道教について学んでおきましょう。

シンプルさを重視しますので、専門家からすると抜け漏れ誤りがあるかもしれませんが、その場合はご指摘・ご容赦ください。

道教の形を成す起源となったのが老荘思想。老子と荘子がまとめ、そして発展させた道家思想とも呼ばれる思想です。

「道(タオ)」とは老荘思想で最上の物とされ、「天(宇宙)」と同義、あるいはそれ以上の存在として扱われます。

「道」を体現するためには、自分を天地宇宙自然の一部だとみなし、精いっぱい生きながらもこの世の原理原則を受け入れて自然体で過ごすこと。

心身が自然でありのままの状態となれば、何物にもとらわれず生き方ができるというものです。これが有名な「無為自然」という考え方ですね。

老荘思想に加えて、道教のもう一つ主要な思想が神仙思想です。神仙思想とは皆さんが想像するような「仙人」となることを目指した古代中国の思想。

仙人は不老長寿となり仙術を操る人間のことを指し、老荘思想の成立より前に存在していました。

この神仙思想が老荘思想と結びついて道教となり、さらには五行説や民俗宗教などを様々な要素を吸収し、複雑に絡まり合った独特の宗教が今日の道教です。

ちなみに道教は日本にも影響を与えていて、その一つが平安時代に貴族を中心に広まり、安倍晴明の名で有名な「陰陽道」です。

 

道教の神様

道教には数えきれないほど無数の神様がいますが、無造作に祀られているわけではなく神様それぞれの位によって分類がされています。

道教の面白い点は「位が高い神様=信仰が厚い神様」というわけではないところ。

道教を信仰するにあたって重要視されるのは「ご利益があるかどうか」なので、格式が高く偉い神様より生活レベルに密着した神様の方が人気があるのが一般的。

具体的に言えば、道教最高位であり老子を神格化した道徳天尊には敬意を払いつつも、財運向上や縁結びなどお願い事を聞き入れてくれる身近な神様に人気が集まるのです。

では台湾の人気・ユニークな神様を紹介していきます。

 

玉皇上帝(ぎょっこうじょうてい):

民間信仰の最高位にある神様。神格があまりに高い道教最高位の神様と人間との間を取り持つ。人間の行いの善悪を把握し、善行者には幸福を与え、逆の者には災いを与える。

 

泰山府君(たいざんふくん):

死者が集まる霊峰「泰山」の神様。閻魔大王の眷属であり、玉皇上帝の孫とされる。人間の生死を司る。

 

媽祖(まそ):

航海を守護する女神。大陸から台湾に渡ってきた人々に幸福を招く。日本にも媽祖廟があり、海に面した地域には必ずと言っていいほど媽祖信仰が残っている。

 

関聖帝君(かんせいていくん):

関帝とも呼ばれる、三国志で有名な武将・関羽を神格化した神様。ご利益は財運・悪霊退散・勝負必勝など幅広い。

 

文昌帝君(ぶんしょうていくん):

学問の神様。日本の天神様のように、台湾では受験の神様として人気を集める。隋の時代から始まった科挙制度の成立から信仰が高まったとされる。

 

斉天大聖(せいてんたいせい):

「西遊記」の孫悟空を神格化した神様。台湾では神像を自宅に一定期間置いておき、ご加護を願うと成就すると信じられている。

 

保生大帝(ほせいたいてい):

病気を治す医療の神様。宋の時代、皇后の難病を全快させた名医だった人物がもととされる。

 

まとめ

道教の廟が放つ極彩色の何とも言えない存在感は、道教が長い期間をかけて取り込んできた様々な要素が絡み合っている複雑さによって醸し出されているのかもしれません。

それでは記事のまとめです。

台湾で見られる「道教」の魅力をたくさん詰め込みましたが、いかがでしたでしょうか?

この記事でご覧になって道教に関する知識を蓄えることで、今までよりちょっとディープな台湾を楽しんでもらえると嬉しいです!

  • この記事を書いた人

しんのすけ

1986年、愛知生まれ。アメリカの大学卒業。金融危機下でなんとか就職するも、会社の歯車として働くことに疑問を感じていた。その後「やりたいことをやる」という信念のもと、現在に至るまで7社5職種+独立・起業のキャリアを経験。プライベートでは易学の研究や中国語の勉強も。台湾が大好き。

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