今回のお題はこちらの方です!
六角形モデル(RIASEC)でおなじみの
ジョン・L・ホランドさん (1919–2008)
【本題の前に】
このブログでは、
「キャリアに関する理論家と仲良くなろう!」
というテーマに沿って理論家を紹介しています。
シンプルさ重視で
理論家の「人となり」を知りながら、
できる限り分かりやすく
お伝えするのがモットーです。
【本題】
今回のゲストであるホランドさんは 、
- パーソナリティ(性格)
- 職業(働く環境)
の特徴を6つのタイプに分類をし、
人の性格に適した職業を選択するための
理論を構築した心理学者です。
その6つのタイプの頭文字から
RIASEC(リアセック)という呼び方を
よく耳にします。
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自分のパーソナリティ・タイプと同じタイプの職業を選択すれば、仕事での満足感や安定感が得られるという考え方ですなんですよね。
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そう、人の行動は「個人のパーソナリティ × その人の環境」の掛け算によって表せると考えたんだ。
生まれ持った遺伝的要素が
個人のパーソナリティ。
そして後天的に影響を受けるのが
環境による要素。
私たちが何かを決定するときには
この2つの背景の相互作用がある、
ということですね。
それではそんなホランドさんについて、
一緒に詳しく知っていきましょう!
注意
ジョン・L・ホランドさんと仲良くなろう
ホランドさんってどんな人?
ホランドさんはアメリカで
心理学者や職業カウンセラーとして
キャリアについて研究を重ねました。
そしてキャリアカウンセリングや
職業選択理論の領域において、
世界的に大きな影響を与えた人物です。
その功績としてよく知られているのが、
職業選択のための六角形モデル。
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このモデルの詳細は後ほど解説しますが、
世界で最も権威のある職業興味検査や、
アメリカ労働省の職務分析に活用されています。
そして我らが日本でも
主に大学生を対象とした進路選択支援ツール、
VPI職業興味検査のベースとなっています。
個人が職業を選択するときにサポートしたり、
社会全体から職業を分析する際の目安になったり。
現代においてもホランドさんなくして、
「人と職業の関係」は語れないのです。
生い立ち・時代背景
そんなホランドさんは大学時代、
なんと心理学、フランス語、数学という
同時に3つも専攻する多彩っぷりを発揮。
そして卒業後は陸軍の活動に参加し、
第二次世界大戦の間(1942~1945)に
人事的な職業に従事しました。
このときホランドさんは、
戦時下の兵士を適材適所に配置する
という役割を任されていたようです。
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当時は兵士たちの職業経歴書をたくさん分析したものだよ。
その仕事をこなすうちにホランドさんは
人の職業経歴には規則性があると気づき、
その規則性を数個に分類する仮説を立てました。
戦後にホランドさんは大学院に入学。
自身の仮説を検証し、
新たな職業分類法を開発しました。
それが六角形モデル(RIASEC)です。
ホランドさんの六角形モデル(RIASEC)とは?
六角形モデル(RIASEC)について
六角形モデルとは、
- パーソナリティ(性格)
- 職業(働く環境)
の特徴を6つのタイプに分類をし、
人の性格に適した職業を選択することを
目的とした理論です。
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この6つのタイプの頭文字から
RIASEC(リアセック)とも
呼ばれています。
6つのタイプそれぞれを説明すると、
六角形モデル(RIASEC)
- 現実的(Realistic):
機械や道具が好き。技術関係の仕事。
- 研究的(Investigative):
研究や調査が好き。科学や医学などの分野の仕事。
- 芸術的(Artistic):
音楽や美術好き。芸術家などクリエイティブな仕事。
- 社会的(Social):
人と関係することや奉仕活動が好き。教師やカウンセラーなど対人の仕事。
- 企業的(Enterprising):
組織的な目標達成や交渉事が好き。経営者や営業職など。
- 慣習的(Conventional):
決められた方法や規則に沿って行うことが好き。会計職や事務職など。
こうした個人のパーソナリティ(性格)と、
職業(働く環境)の特徴を
かけ合わせて考えることで、
職業選択のための
適切なマッチングを実現することが
六角形モデルの目的と言えます。
スリーレターコードとは?
この6つのタイプから、
個人の興味の強さに応じて
3つのタイプを選び出します。
それがスリーレターコードです。
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ちなみに私は S-E-C への興味が強かったです。
そして3つの記号の組み合わせ方にも
ある特徴が見いだせます。
- 一貫性:
六角形上で隣同士の記号(あるいは距離の近い記号)ほど心理的な類似性が高く一貫性がある。逆に離れているほど(対極)一貫性がない。
- 分化:
特定のタイプの数値が高く、他のタイプの数値が低い状態を分化という。パーソナリティおよび職業のタイプを明確に区別できている状態のことを指す。
一貫性と分化の両方が測定できたとき、
キャリア選択の方向性が明確になりやすい
という傾向があります。
診断ツール:VPIとVRT
ホランドさんの六角形モデルは
日本でも職業興味への診断ツールに
活用されています。
その代表的なツールが
VPI職業興味検査と
職業レディネス・テスト(VRT)です。
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- VPI職業興味検査
- 160の具体的な職業に対する興味・関心の有無の回答から、6タイプの職業興味領域尺度と5種の傾向尺度(心理的傾向)に対する個人の特性を測定
- 適用範囲は大学生・短期大学生(社会人に対しても実施することは可能)
- 職業レディネス・テスト(VRT)
- 若年者に対し、自己理解を深めさせ、職業選択に対する考え方を学習させる教材として活用
- 対象は中学生・高校生だが場合によっては大学生でも可
職業分類辞典(DOT)
アメリカにおいて1938年から1990年代という
長い時間をかけて作られた
職業辞典(Dictionary of Occupational Titles)。
これもホランドさんの理論がベースとなっています。
この職業辞典には
スリーレターコードが活用されていて、
なんと13,000を超える職業タイプを収録。
そして現在では職業データベース
「O*NET」に置き換えられています。
日本でも最大級の職業情報提供サイト、
「日本版O-net」が公開され、
随時更新されています。
まとめ
- パーソナリティ(性格)
- 職業(働く環境)
これらの特徴を6つのタイプに分類をし、
六角形モデルを構築したホランドさん。
自分のパーソナリティ・タイプと
同じタイプの職業を選択すれば、
仕事での満足感を得られるという考え方でした。
そしてホランドさんの理論は今でも、
職業興味の診断ツールなどとして
若者を中心に広く活用されています。
そんなホランドさんに
敬意を表したオヤジギャグを。
職業への興味は、6つに掘らんど
ではまた!