キャリア理論

スーパーさんとキャリア発達理論【分かりやすく解説】

2021年12月19日

今回のお題はこちらの方です!

ドナルド・E・スーパーさん (1910–1994)

 

【本題の前に】

このブログでは、

「キャリアに関する理論家と仲良くなろう!」

というテーマに沿って理論家を紹介しています。

 

シンプルさ重視

理論家の「人となり」を知りながら、

できる限り分かりやすく

お伝えするのがモットーです。

 

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晋之助

どうも、キャリアコンサルタントの晋之助です。Twitter / instagram / youtube もやってます。お問い合わせはこちらから。

 

【本題】

さて、今回のゲストであるスーパーさんは 、

 

仕事や生活での満足度を上げるために

自己概念(自分らしさ)の追及が必要だと

唱えた職業心理学者です。

 

ただ、自己概念は変化していくもので、

その変化に影響を与えている要素として

  • ライフステージ
  • ライフロール

この2つを挙げています。

 

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晋之助

そしてこの2つをまとめたものがライフキャリア・レインボーですね。

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スーパーさん

はい、個人のキャリアが発達する段階や要素について分かりやすく図で表しました。

 

人生(ライフ)の要素によって

自分らしさ(自己概念)は

変わっていきます。

 

しかし、だからこそちゃんと

自分らしさを把握しておくべきであり、

 

キャリアの相談に乗る側としても、

相手の自分らしさを知ろうという

努力が必要となる。

 

これがスーパーさんが考える、

キャリア発達理論です。

 

それではそんなスーパーさんについて、

一緒に詳しく知っていきましょう!

 

注意

この記事では分かりやすさを重視するため、文献や公式情報の表現を一部変えてお届けしています。正確な情報との差異がある点をご理解いただきながら、参考にしていただければ幸いです。

 

ドナルド・E・スーパーさんと仲良くなろう

スーパーさんってどんな人?

スーパーさんの理論は

「個人の生涯発展を支援する」

目標としています。

 

つまり、

 

「生きている間はずっと

人生の満足度が上がっていくように

サポートをしますよ♪」

 

ということです。

 

スーパーさんはこの目標実現のため、

キャリア発達に起こる変化や要因を

長年にわたって研究を重ねた人物です。

 

スーパーさんの理論は

「キャリア理論の古典」と呼ばれるほど、

現代のキャリア理論にも大きな影響を与えています。

 

いわばキャリア研究の第一人者。

 

そんなスーパーさんの理論を、

まずはサクサクッと見ていきましょう。

(詳しい解説はこの記事の下の方で)

 

スーパーさんが言うには、

人はキャリアを通じて、

 

「自分らしさ」

を発揮しようとするのだそうです。

 

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晋之助

「自分らしさ」が活かせるようなキャリアを選択したいのは、誰もが同じですもんね。

 

この「自分らしさ」は

自己概念と呼ばれています。

 

そしてこの自己概念が中心となり、

人生で経験する様々な段階を経て、

個人のキャリア発達が形成されていきます。

 

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スーパーさん

たとえ同じ人物でも、青年の期間や成人の期間では発達に必要なことが異なりますからね。

 

この人生のキャリア発達段階のことを

ライフステージと呼びます。

 

さらにライフステージを経験する中で、

子ども、市民、労働者、家庭人など

人は様々な役割を演じる必要があります。

 

自分自身の年齢によるステージと、

他人や社会から求められる役割が

私たちの人生には混在しているのです。

 

ときには「労働者×家庭人」というように

同時に複数の役割を果たす場合もあります。

 

こうした人生における役割を、

ライフロールと呼びます。

 

これらライフステージ

ライフロールの2つの要素を

モデル図としてあらわしたもの。

 

それがライフキャリア・レインボーです。

 

 

おさらい

  • 自己概念:
    キャリアを通じて追求したいと考える「自分らしさ」のこと
     
  • ライフステージ:
    自己概念を中核としながら、青年期や成人期などで訪れるキャリア発達のために経験する各段階のこと
     
  • ライフロール:
    子ども・労働者・家庭人など、人生のなかで演じる役割
     
  • ライフキャリア・レインボー:
    ライフステージとライフロールを同時に表したモデル図

 

これらがスーパーさんの

キャリア発達理論について

押さえておくべき一連の内容です。

 

生い立ち・時代背景

そんなスーパーさんは1910年に

アメリカで生まれました。

 

スーパーさんのお父さんは、

長年、YMCAで人事の仕事をしていて、

スーパーさんも同じ道を歩んでいきます。

 

ちなみに西城秀樹は関係ないですよ?

YMCAとはキリスト教青年会のことですね。

(ヤングメン!)

 

スーパーさんが大学を卒業したあと、

お父さんと同じくYMCAに就職し、

職業紹介カウンセラーとなります。

 

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スーパーさん

このころはちょうど1929年の世界恐慌が起こったあとでした。

 

この厳しい経済的な背景から、

失業問題の解決

安定的な職業生活の獲得に対して、

 

スーパーさんは強い関心を持つようになります。

 

その後、大学院への進学などを通し、

職業心理学に対する研究

生涯のテーマとして取り組みました。

 

晩年までその研究に没頭し、

スーパーさんは数々の功績を残しました。

 

アメリカ心理学会の

カウンセリング心理学部門の

最高責任者を務めたり。

 

そのアメリカ心理学会から、

心理学への科学的な貢献による

殊勲賞を受賞したり。

 

そしてなんと75歳という年齢

オクスフォード大学で

博士号を取得します。

 

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晋之助

学問への探求心がすさまじいです…!

 

生涯を職業心理学に捧げ、

スーパーさんは1994年、

83歳でこの世を去りました。

 

スーパーさんのキャリア発達理論

さぁ、ここからは

スーパーさんの理論について

もう少し詳しく見ていきましょう。

 

自己概念

個人は自身のキャリアを通じて、

「自分らしさ」を発揮しよう

と行動する。

 

この考え方が、

スーパーさんの理論のベースとなる

「自己概念」です。

 

  • 自分は何者か?
  • 自分の特徴とは何か?
  • 他人から自分はどう見られているか?

 

というような自分自身に対する考えや、

あるいは他人から見た自分について

抱いているイメージのことです。

 

ちなみにカウンセリングなどでは、

 

相談者がどんな自己概念を持っていて、

自身でどのように自己認知しているか、

これを正しく理解する必要があります。

 

この自己概念(=自分らしさ)は

生涯を通じて不変なのではなく、

いろいろな影響を受けながら変化・発達していきます。

 

この「いろいろな影響」の要因が、

次項のライフステージ

ライフロールにあたります。

 

5つのライフステージ

自己概念を持ちつつ、

人生の様々な段階を経験することで、

個人のキャリアは発展していきます。

 

その人生の段階を

スーパーさんは5つに分類しました。

 

それがライフステージです。

 

5つのライフステージ

  1. 成長期(0~14歳)
    自分の興味・関心や能力の存在に気づき始める。仕事についても憧れなどから、関心を寄せるようになる。
     
  2. 探索期(15~24歳)
    自身の興味・関心を探し当てて特定の職業に絞り込んでいく。必要に応じて職業訓練も始める。
     
  3. 確立期(25~44歳)
    特定の職業に就いて、キャリアを確立する。中期・後期には昇進が期待できる。
     
  4. 維持期(45~64歳)
    築いた地位の維持や、さらなるスキルや知識の習得により責任を果たす。後期には退職後の計画を立てるようになる。
     
  5. 解放期(65歳~)
    退職し、職業外の新しいライフキャリアを歩む時期。

 

これら一連の発達段階のことを

マキシサイクルといいます。

 

そしてそれぞれの段階に移行する際に

起こるような出来事のことを

ミニサイクルといいます。

(転職やリストラ、病気など)

 

ライフロール

しかし、ライフステージのように

特定の年齢以外にも

キャリア発達の機会は訪れます。

 

それが「人生の役割」を表現する

ライフロールです。

 

スーパーさんは

以下の7つの役割を挙げています。

 

※文献や解釈によっては、

「その他」を細分化して

9つの役割となっているものもあります。

 

7つのライフロール

  1. 子ども
    親との関係における自分。幼少期の役割の大部分を占める。
     
  2. 学生
    学ぶための役割。社会人以降に学ぶ場合も含まれる。
     
  3. 余暇人
    趣味やスポーツなど、好きなことをする役割。
     
  4. 市民
    社会の構成員として、特にボランティアを通して社会貢献する役割。
     
  5. 労働者
    仕事を行う役割。アルバイトなどの非正規雇用も含む。
     
  6. 家庭人
    親元を離れたあとの役割。家事全般や日曜大工などの家庭に関すること。
     
  7. その他のさまざまな役割
    配偶者、親、年金生活者など

 

「その他のさまざまな役割」には

誰もが経験するものでもない

配偶者、親などの役割が含まれます。

 

ライフキャリア・レインボー

そして、ライフステージ

ライフロールの2つを

1つの図で表したもの。

 

それがライフキャリア・レインボーです。

 

 

この引用元のように

情報が古い場合は、

最新のものと少し異なる場合があります。

 

最新のライフステージの考え方は、

成長期・探索期・確立期・維持期・解放期

の5つですが、

 

この図では探索期が省かれていて、

さらに解放期のかわりに衰退期という

名称が使われています。

 

14の命題

そしてスーパーさんによる

キャリア発達理論の考えを

まとめたものが14の命題です。

 

公式の命題は内容が難しく

読み解くのは大変なので、

 

ここでは分かりやすいように

私が少し書き換えてみました。

 

まぁそれでも長いんですけどね…

 

14の命題

  1. 人のパーソナリティや能力には違いがある。
     
  2. そのため、それぞれの人に適合する職業が存在する。
     
  3. それぞれの職業にも、必要とされるパーソナリティや能力に違いがある。
     
  4. 職業に対する好みや興味は、時間とともに変化する。同時に自己概念(自分らしさ)も変化する。
     
  5. 自己概念が変化するプロセスというのは、成長・探索・確立・維持・解放という一連のライフステージ(「マキシサイクル」)にまとめられる。また、あるステージから次のステージに移行するときに起こる出来事のことをミニサイクルという。
     
  6. 自分が到達した職業レベルのことをキャリアパターンという。
     
  7. どのライフステージにおいても、個人や職業による要求を満たせるかどうか、その人自身のレディネス(何かに対処するための準備ができている状態)のレベルによる。
     
  8. そのレディネスはキャリア成熟度と言い換えることもでき、職業的な発達を意味する。
     
  9. ライフステージの各段階を通して、能力や興味を成熟させたり、自己概念の発達を促進することで全体的なキャリア発達が達成できる。
     
  10. キャリア発達とは、職業的自己概念を発達させて実現していくプロセスである。
     
  11. 自己概念と現実とのギャップを埋めるために、人はライフロール(人生の役割)を演じながら学習していく。
     
  12. 職業や生活での満足度は、自己概念を適切に表現できる場をどの程度見つけられるかによって決まる。
     
  13. 仕事で得られる満足度は、自己概念を具現化できた程度に比例する。
     
  14. 仕事と職業は、たいていの人にとってパーソナリティ構成の要素となる。

 

12番や13番は特に胸に刺さります…

自己概念(自分らしさ)を表現できれば、

生活や仕事での満足度が上がるんですね。

 

人生のいろいろな要素によって

自分らしさは変化しますが、

 

その自分らしさをしっかりと

自分自身で把握しておくことが

人生の満足度アップにつながっていきそうです。

 

まとめ

自己概念(自分らしさ)の追求によって、

キャリアを発達させようと考えた

スーパーさんの理論でした。

 

最後に簡単に振り返ってみましょう。

 

おさらい

  • 自己概念:
    キャリアを通じて追求したいと考える「自分らしさ」のこと
     
  • ライフステージ:
    自己概念を中核としながら、青年期や成人期などで訪れるキャリア発達のために経験する各段階のこと
     
  • ライフロール:
    子ども・労働者・家庭人など、人生のなかで演じる役割
     
  • ライフキャリア・レインボー:
    ライフステージとライフロールを同時に表したモデル図
     
  • 14の命題:
    スーパーさんのキャリア発達理論をまとめたもの

 

職業心理学者として、

個人が自分らしさを見つけること

重要性を唱えたスーパーさん。

 

私もキャリアコンサルタントとして

相談者の人生満足度を上げられるよう

スーパーさんを見習いながら頑張っていきます。

 

そんなスーパーさんに

敬意を表したオヤジギャグを。

 

ライフ(人生)を楽しむためには自己概念(自分らしさ)がスーパー重要!

 

ではまた!

  • この記事を書いた人

しんのすけ

1986年、愛知生まれ。アメリカの大学卒業。金融危機下でなんとか就職するも、会社の歯車として働くことに疑問を感じていた。その後「やりたいことをやる」という信念のもと、現在に至るまで7社5職種+独立・起業のキャリアを経験。プライベートでは易学の研究や中国語の勉強も。台湾が大好き。

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