今回のお題はこちらの方です!
特性因子理論でおなじみの
フランク・パーソンズさん (1854–1908)
【本題の前に】
このブログでは、
「キャリアに関する理論家と仲良くなろう!」
というテーマに沿って理論家を紹介しています。
シンプルさ重視で
理論家の「人となり」を知りながら、
できる限り分かりやすく
お伝えするのがモットーです。
【本題】
さて、今回のゲストであるパーソンズさんは
キャリアカウンセリングの三大源流の1つ、
職業指導運動の中心人物となった方です。
現代におけるキャリアに関する考え方の
おおもとになった理論を構築したのが、
パーソンズさんなのです。
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「人と職業のマッチング」という考えを初めて導入されたんですよね。今日はよろしくお願いします。
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おかげさまで「職業指導の父」なんて呼ばれています。私についていろいろ知ってもらえると嬉しいですね。
そんな偉大なパーソンズさんについて、
一緒に詳しく知っていきましょう!
注意
フランク・パーソンズさんと仲良くなろう
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パーソンズさんってどんな人?
パーソンズさんは、
1900年ごろに職業指導運動において
活躍したアメリカ人です。
パーソンズさんの大きな功績は…
- 仕事選びはよく考えなきゃダメ
(職業指導) - 自分にあった仕事に就こう
(特性因子理論)
というような
今では当たり前になっている考え方を
世界で初めて導入したことです。
つまり現代でいう、
「キャリアカウンセリング」や
「キャリアコンサルティング」などの
基礎を築いた偉人なのです。
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1900年前後のアメリカでは「なんでもいいから仕事に就かなきゃ」という考え方が主流だったんですよね。
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そう。その結果、転職を繰り返してしまって生活が安定しない若者が増えてしまっていたんだ。
職業を選択するにあたって、
自己理解や仕事理解が重要という考えが、
当時は存在していなかったということですね。
こんな背景からパーソンズさんは、
職業指導局を設立したり
「職業の選択」という本を書いたり、
迷える若者たちのために尽力しました。
この大きな功績によってパーソンズさんは
「職業指導の父」と呼ばれています。
生い立ち・時代背景
では、そのパーソンズさんの生い立ちについて調べてみましょう。
パーソンズさんは1854年に、
アメリカのニュージャージー州に生まれました。
パーソンズ家は医師、弁護士、教師などの
知的な職業の人が多い家系だったそうで、
パーソンズさん自身もその才能を引きついでいました。
なんとニューヨークの大学に15歳で入学。
そしてたった3年で土木工学の学士号を取得して卒業。
…はい、天才さんだったんですね。
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いえいえ、それほどでもありませんよ。
そして職業指導の父と呼ばれているだけあって、
パーソンズさんのその後のキャリアも凄まじいのです。
パーソンズさんのキャリア
土木技師、教師、法律実務、法律教科書作家、大学教授、ボストン市長立候補(落選)、マガジンライター、社会活動家
これだけ豊富なキャリアを経験したことが、
パーソンズさんの職業指導に対する
自信や原動力となっていたのかもしれません。
さて、この時代のアメリカについても
知識として知っておきましょう。
パーソンズさんが活躍した時代は、
今からだいたい100年ちょっと前の1900年前後です。
さくっと年表にしてみるとこんな感じ。
1900年前後のアメリカ
- 1865年:第二次産業革命(イギリス発)
- アメリカでも工業が大きく成長
- 職業や仕事の数も爆発的に増加
- エジソンによる電話・電球の発明もこの時代
- 1869年:最初の大陸横断鉄道が完成
- アメリカ西部の開拓が進む
- アメリカ国内での人の移動が盛んとなる
- 1873年:金融恐慌
- 鉄道業に投資していた銀行の破綻
- 鉄道業自体にもダメージ
- 1880年代:移民の増加
- ヨーロッパで人口急増による食糧難が発生
- 南欧や東欧からの移民増加
- 未熟練労働者・低所得者の増加
- 1890年代:革新主義時代の到来
- 社会と政治の改革が急激に進む
- 資本家と低所得者層の格差を改める意識が生まれる
- 1890年以降:帝国主義時代へ
- 西部開拓が終結し、次の開拓地探しへ
- アメリカの海外進出が本格的に始まる
ほんの30年くらいの間なのに、
発展と衰退が繰り返されて
激しく浮き沈みする過酷な時代でした。
革命や改革により爆発的に仕事が増えたり、
恐慌などによって急激に経済が冷えたり。
こんな激動の世の中では、
当時の労働者は「働くこと」に対して
深く考える余裕がなかったことでしょう。
そこでパーソンズさんが
特性因子理論などを活用しながら
「働くこと」についてしっかり考えよう!
と訴えかけていたというわけです。
パーソンズさんの特性因子理論とは?
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特性と因子
特性因子理論は、
パーソンズさんが書いた本である
『職業の選択』に載っている考え方です。
このブログの冒頭で特性因子理論のことを、
「 自分にあった仕事に就こう 」
というふうにシンプルに紹介しました。
ここで言う「自分にあった」というのは、
自分自身の個性を活かせるということで、
それが特性因子理論の「特性(個性)」にあたります。
では「因子」とは何か?
そう、仕事のことですね。
もう少し詳しく説明すると、
因子とは要素のこと。
職種や職場、スキル、人間関係など、
仕事に関するさまざまな構成物が「因子」です。
ということで、
自分の個性である「特性」と
仕事の要素である「因子」を、
しっかりマッチングさせて、
自分にあった仕事に就こうZE!☆
という考え方が特性因子理論なのです。
「丸い釘は丸い穴に」
これはパーソンズさんのお言葉ですが、
まさに適材適所を訴える名言だといえますね。
特性因子理論の詳細
ここまでのお話が把握できたら、
もうあとは細かい内容をお伝えするだけです。
職業選択の3要素
職業をしっかり選択するためには、
次の3要素が不可欠だと言われています。
職業選択の3要素
- 自分自身についての明確な理解
(適性・スキル・興味・希望・限界など)
- 仕事に関連する情報の把握
(求められる資質・成功の条件・報酬・将来性など)
- これら2つに対する合理的な関連付け
自己理解と仕事理解を深めていき、
その2つを掛け合わせることで
自分にあった職業を選択できるようになるというわけですね。
職業相談の7技法
そしてこの「職業選択の3要素」に基づき
労働者が自分にあった職業を選べるように
相談に乗る側が支援する必要があります。
その職業相談の支援方法として、
パーソンズさんはの7つの技法を構築しました。
職業相談の7技法
- 職業に関連する個人情報を整理する
(仕事に就くために必要な要素を把握する)
- 自己分析の支援
(カウンセラーの指導のもと実施する)
- 意思決定の支援
(職業の選択はあくまでクライエントによりなされるべきである)
- カウンセラーによる分析
(意思決定の結果がクライエントの求めているものと整合性がとれているかを分析)
- 職業分野の展望と調査
(カウンセラーは職業や産業に関する知識を蓄えておく必要がある)
- 機能的推理とアドバイス
(論理的で明確な推論を立てることで、有益なアドバイスをする)
- 選択した職業への適応を援助
(クライエントが選んだ仕事への適合やその意思決定についての振り返りを支援する)
現代でも通用するような技法を、
パーソンズさんは100年も前に
すでに構築していたのです。
GATB(一般職業適性検査)
そして100年経った現代においても、
特性因子理論は活用されています。
その一つがGATBという適性検査です。
日本では「厚生労働省編」が開発されています。
仕事をする上で必要とされる
9種類の能力(適正能力)を
測定するという検査です。
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こんな問題を解いていくことで、
自己理解や仕事理解の探索や、
職業選択を行うための参考情報が
得られるというのがGATBです。
まとめ
現代では当たり前となっている、
- 仕事選びはよく考えなきゃダメ(職業指導)
- 自分にあった仕事に就こう(特性因子理論)
という考えを世に広めたパーソンズさん。
パーソンズさんが存在しなかったら、
私たちには今ほどの職業選択の自由が
与えられていななかったかもしれません。
そんなパーソンズさんに、
感謝の意を込めてオヤジギャグを。
人(パーソン)のために尽くしたパーソンズさん
ではまた!