どうも、易経を学ぶ晋之助です。
日本人の海外旅行先として超絶的な人気の台湾。
ピーク時には年間200万人もの日本人が台湾を訪れています。
きっとこの人数の中には「また台湾に行きたいな~。次は現地の言葉を覚えてもっと台湾を楽しもう!」と考えている人も多いでしょう。
そんな人たちにピッタリのテキスト『キクタントラベル台湾華語』が2020年12月に発売されました。
ということで、台湾にハマり過ぎて3ヶ月に4度も訪問し、独学で台湾華語を話せるようになった私が『キクタントラベル台湾華語』について細かく紹介していきます。
台湾華語の勉強を始めたい人や台湾華語のテキストを探している人は、ぜひ参考にしてくださいね!
「キクタントラベル台湾華語」について
ありがたい貴重な台湾華語テキスト
テキストの紹介をする前に、台湾の公用語についてサッとおさらいしておきましょう。
台湾では中国語が話されているわけですが、実は中国大陸で話されている中国語とは異なるのです。
大きな違いは使われている文字。
台湾の中国語は「繁体字(はんたいじ)」という旧漢字のような難しい文字を使うのに対して、大陸の中国語は「簡体字(かんたいじ)」という簡略化された漢字を使います。
発音や単語などその他にも違いは様々あり、この2つの中国語を区別するために台湾の中国語は「台湾華語(たいわんかご)」と呼ばれています。
ちなみに台湾の人たちは「台湾華語」とは言わず、自分たちの言語を「中文(ヂョンウェン)」や「國語(グォユー)」と呼んでいますね。
まぁ日本では「台湾華語」って呼ぶことが多いから、今はあんまり気にしなくていいよー!
そんなこんなで、台湾華語を学ぼうと思い立った人が取る最初の行動は、おそらくAmazonや書店などで台湾華語のテキストを探すことでしょう。
しかし、ここで多くの人が直面するのが台湾華語のテキスト少なすぎ問題です。
中国語のテキストといえば中国大陸の中国語ばかりで、残念ながら台湾華語のテキストはなかなかのマイノリティ。
そんな逆風(?)の中、超有名テキストの「キクタン」シリーズから満を持して発売された『キクタントラベル台湾華語』は、まさに台湾華語学習者にとって待望の一冊なのです。
どんな人におすすめ?
『キクタントラベル台湾華語』は、ずばり言うなら台湾華語初心者にぴったりのテキスト。
恐らく台湾華語を学びたいと思い立つ理由の多くは、台湾旅行がきっかけでしょう。
ここで『キクタントラベル台湾華語』がどんな層をターゲットにしているか、テキストの内容から想像してみます。
- ・台湾旅行に1~2回行った
- ・今後も3回、4回と継続して台湾に行きたい
- ・次回はもっとディープに遊んでみたい
- ・お店の人やホテルのスタッフなど、現地の人と気軽に話してみたい
- ・そのためには台湾華語を話せるようになりたい
こんな感じで、恐らく台湾にどっぷりハマりつつあるような人に向けて作られたテキストだと想像できます。
なぜなら『キクタントラベル台湾華語』というタイトルの通り、空港・宿泊・移動・食事・観光・買い物といった台湾旅行でよく使うようなフレーズが多く収録されているからです。
また、章末には高速鉄道・地下鉄の路線図や食堂での注文方法など、台湾旅行のワンポイント情報も豊富。
もしあなたが上のリストに当てはまるような台湾ファンだとしたら、このテキストの価値を最大限に活用できるでしょう。
ところで「キクタン」って何?
『キクタン』とは、音楽に合わせて単語やフレーズを口ずさむことで、言語を効率的に記憶に定着させる教材のシリーズ名です。
英語の単語テキストとして有名になったシリーズですので、「聞く単(語)」が『キクタン』の由来となっているわけですね。
キクタン最大の特徴は、音楽と言語を同時に聞き取る「チャンツ」と呼ばれる学習メソッド。
従来の言語学習はひたすらに書いて覚えることが主流でしたが、チャンツを用いる『キクタン』はリズムに乗って単語やフレーズを覚えられることから、ストレスなく楽しく言語を学べると人気の教材です。
ちなみに耳を使った言語学習の有効性は、脳科学的にも支持されています。
すごく簡単に説明すると、小さいころに覚えた童謡を数十年経った今でも歌えるのと同じですね。
耳から覚えた歌って、時間が経ってもいつでも歌えるよー!
これと同じ効果を狙っているのが人気シリーズ『キクタン』の「チャンツ」という学習法なのです。
「キクタン」のおすすめポイント
初心者に嬉しい!台湾華語の基礎的な発音・文字・文法が分かる
さて、ここからは具体的なおすすめポイントを紹介していきます。
『キクタントラベル台湾華語』の1つめの良いところは、台湾華語の基本知識がこの1冊で学べること。
発音の抑揚ルールである「四声」や、台湾華語特有の発音符号「注音」、さらには述語文・疑問文・助動詞などを使った文章構造パターンを体系的に把握できます。
もちろん繁体字(旧漢字のような難しい文字)についての説明もありますよ。
ただし、あくまで『キクタントラベル台湾華語』は「旅行フレーズ」用のテキストなので、文法書のような細かい解説があるわけではありません。
それでも台湾華語の学習を始める初心者にとっては、十分すぎるほどの分かりやすい情報です。
台湾華語には旅行フレーズ用のテキストは多いのですが、基礎知識をシンプルかつ丁寧に解説しているフレーズ集はなかなか見かけません。
これだけでも『キクタントラベル台湾華語』を買う価値があると思います。
「キクタン」オリジナル学習法で発音が上手くなる
オリジナル学習法とは既に上で紹介した「チャンツ」のことです。
音楽に合わせて単語やフレーズを口ずさむ学習法ですね。
中国語も同様なのですが、台湾華語を始めた学習者が必ずぶち当たる大きな壁が「四声」という発音ルール。
「マー→ マー↗ マー⤴ マー↘」という抑揚練習を耳にしたことがある人もいるかもしれません。
この四つの声調が「四声」であり、台湾華語の各文字には四つのうち一つの声調が定められています。
「四つしかないなんて楽勝じゃん!」と簡単そうに思えるのですが、ある程度長い文章を発声するときに本当に混乱するのです…
この四声をマスターするのにかなり役立つのが、音楽と一緒にくちずさむ「チャンツ」という学習法。
音楽と一緒ならストレスなく繰り返し発声できるので、自然と正しい発音を習得できるようになるのです。
台湾華語の初心者以外でも、四声が苦手な人は「キクタン」を試してみるといいかもしれません。
注音(ボポモフォ)とピンインの併記で中国語の音を習得しやすい
注音は台湾華語において必要不可欠な学習要素。
いわば台湾華語のアルファベットと呼ぶべきもので、PCやスマホで台湾華語の繁体字を打つときにこの注音を使います。
注音の並びの始まりの音をとって「ボポモフォ」とも呼ばれますね。(日本語なら「平仮名の勉強=あいうえおの勉強」と言うようなもの)
この注音が本当に重要で、台湾人に聞いても台湾華語を習得した日本人に聞いても、みんな口をそろえて「台湾華語を学ぶなら、まずは注音をマスターすべし」と言います。
そんな気になる注音がコチラ!
…はい、初めて注音を見たあなた、気持ちはよく分かります。
なんか平仮名やカタカナみたいなのも混じってる「謎の記号」としか思えません。
注音について過去の記事でもう少し詳しく紹介していますので、気になる人はこの記事の【まずは注音(ボポモフォ)を学ぶべし】の項目を見てみてください。
結論としては、この発音符号「注音」を見るだけで「台湾華語をどう発音すればいいかが分かる」というのが理想の状態ということ。
でも初めのうちはそれぞれの符号を覚えるだけでも大変なので、まずは「ピンイン」を使って覚えていくのをおすすめします。
ピンインというのは「謝謝の発音= "xiè・xie" 」とアルファベットで教えてくれる表記法ですね。
初めのうちはアルファベット表記のピンインの方が分かりやすいのですが、残念ながら台湾華語のテキストで「注音」と「ピンイン」がセットで表記されているものってあんまり多くないのです。
その点、『キクタントラベル台湾華語』では「注音」と「ピンイン」の両方が併記されているのが嬉しいポイント。
台湾華語でとても重要な発音符号「注音」を習得しやすい点も、『キクタントラベル台湾華語』をおすすめする理由の1つなのです。
旅行フレーズ・旅行単語で台湾観光がもっと楽しくなる
旅行あるあるですが、「こんなときに現地の言葉が喋れたらな~!」と思うことって結構ありますよね。
例えば、
- ・ご飯の注文をしたい
- ・お店の人にオススメを聞きたい
- ・寺院などの施設で簡単な質問をしたい
- ・タクシーを使うときスムーズに行き先を伝えたい
- ・ホテルのスタッフにちょっと助けてほしい etc..
台湾の観光地ならだいたい日本語や英語が通じるので、台湾観光中に言語でストレスを感じることはあまり多くありません。
ただ、少しでも現地の人とコミュニケーションが取れるようになれば、旅の最中に感じる小さな心残りや後悔を解消することができます。
そして何より「人懐っこい台湾人と台湾で楽しく話せた」という、日本では絶対に経験できない思い出を作ることができるのです。
台湾人はどんな国の人に対しても優しいので、台湾華語を話す日本人にはなおさら優しくしてくれる人が多いはず。
『キクタントラベル台湾華語』には豊富な旅行フレーズが収録されている上、テキストのサイズもコンパクト。
事前に勉強しておくのも良し、実際に現地で持ち歩くのも良し。
台湾華語の理想的な入門テキストと言えるでしょう。
買う前に要チェック!
旅行フレーズ以外は載っていない
ここまで「おすすめポイント」をご紹介してきましたが、もちろん全ての人に当てはまるわけではありません。
あなたにとって『キクタントラベル台湾華語』が本当に買う価値があるかどうか、最後にこの章でチェックしてみましょう。
まずは「旅行フレーズ以外は載っていない」という点。
テキストのタイトルに「トラベル」と入っているので当たり前のことではあるのですが、有名テキストである「キクタン」の宿命なのか教材として期待している人も少なからずいるようです。
実際にAmazonのレビューを見てみると「完全なる旅行用です」「学習用には向いていないかも」「自己紹介フレーズが載っていなかった」と、教材として活用するつもりだったような言葉が目立ちます。
旅行以外のフレーズを習得したい!という人は改めて購入するかどうかを検討するのがよさそうです。
台湾華語レベルが中級以上の人には物足りない
「おすすめポイント」でお伝えしたとおり、台湾華語の基礎を抑えながら多くの旅行フレーズを学べる『キクタントラベル台湾華語』は、台湾華語の入門テキストとしては間違いなくおすすめの一冊です。
でも、ちょっと残念なのが「レベル感」の記載がどこにもないこと。
『キクタントラベル台湾華語』という旅行にフォーカスしたタイトルから何となく初心者向けかなと推測できますが、ラインナップが少ない台湾華語テキスト界においては、中級以上の学習者からも期待を集めてしまいかねません。
語学スクールやオンラインレッスンを受講しているなど、すでに何年か台湾華語を学んでいる人にとっては物足りないテキストになりかねないのでご注意を。
チャンツがうっとおしい…かも?
音楽と一緒にリズムに乗りながら言語を学べる「チャンツ」は、キクタンシリーズ特有の学習法です。
軽快なBGMが流れている中でフレーズを読み上げると耳に残りやすいため、記憶への定着が期待できるというもの。
ただし、フレーズを読み上げる音声に集中したいという人には、BGMの音楽が少しうっとおしく感じるかもしれません。
「集中して台湾華語の音声を聞き取りたい」と感じるのは、ある程度聞き取りができる(四声や発音の基礎が築けている)ような人に多いと思います。
ということはやはり、中級以上の学習者の期待値を超えるのは難しそうです。
とはいえ台湾華語の初心者であれば「言語」として勉強するより「音」として感覚的にフレーズを覚えられるチャンツは有効的ですので、ぜひ試してみてください。
台湾人からするとちょっと違和感のあるフレーズも?
初心者向けということは、できるだけ難しい表現を避けたシンプルなフレーズを揃えているということです。
良いことではあるのですが、その一方で会話表現として「丁寧さ」や「自然さ」は二の次になりがちという弊害もあります。
例えばこの『キクタントラベル台湾華語』で最初に紹介されている「請給我~(~をください)」というフレーズ。
台湾人に聞くと「少なくとも自分はあんまり使わないし、これを使っている人がいたら『あ~、日本人だな』と思いますね」と教えてくれました。
「請給我~」は英語にすると "Please give me ~" と言い換えることができる命令形をマイルドにした表現なのでほんの少しだけ偉そうなニュアンスがあります。
日本語でも何か欲しいときは「~をください」というより「~をもらえますか?」と言う方が丁寧で自然に聞こえるのと同じですね。
もちろん「請給我~(~をください)」でも絶対分かってもらえるのでそこまで気にする必要はありません。
しかし、他にも台湾人には「ちょっと不自然」「ちょっと失礼」と感じるフレーズがあるようですので、「台湾華語ネイティブ並みの表現を身に付けたい」と考えている人には不向きなテキストかもしれません。
結局のところ、台湾華語が中級以上の人は購入する前にしっかり検討するのが良いというのが結論ですね。
まとめ
台湾華語テキスト『キクタントラベル台湾華語』を紹介してきました。
超人気シリーズ「キクタン」から満を持して発売されたこのテキストは、旅行フレーズにフォーカスした内容ではあるものの、台湾華語の初心者にピッタリのテキストだと言えます。
では、今回の記事の振り返りです。
「キクタントラベル台湾華語」について:
・ありがたい貴重な台湾華語テキスト
・どんな人におすすめ?
・ところで「キクタン」って何?
おすすめポイント:
・初心者に嬉しい!台湾華語の基礎的な発音・文字・文法が分かる
・「キクタン」オリジナル学習法で発音が上手くなる
・注音とピンインの併記で中国語の音を習得しやすい
・旅行フレーズ・旅行単語で台湾観光がもっと楽しくなる
買う前に要チェック!:
・旅行フレーズ以外は載っていない
・台湾華語レベルが中級以上の人には物足りない
・チャンツがうっとおしい…かも?
・台湾人からするとちょっと違和感のあるフレーズも?
台湾華語を話せるようになると、台湾旅行が数倍楽しくなること間違いなし。
台湾でのディープな思い出を残せるよう、台湾華語を学んでいるみなさん、一緒に頑張りましょう!