六十四卦

57. 巽為風(そんいふう) -易経・六十四卦-

2021年2月24日

キーポイント

巽(☴)は下の陰爻が上にある二つの陽爻に従っている卦です。

相手に対して柔和な態度で従っていれば、小さな願いであれば叶い、利益を得ます。

また、その相手は大人物であればさらに良いでしょう。

ただし巽為風は自分が上位に立つことはできず、決断力に乏しい場面もあります。

せっかくのチャンスが訪れた時に、迷いや躊躇から決断を遅らせることがないように心掛けなければなりません。

 

巽為風(そんいふう)について

卦辞(巽為風の概要)

巽(そん)は、小(すこ)し亨(とお)る。往くところあるに利あり。大人(たいじん)を見るに利あり。

巽では、小さな願いは叶う。人に従って進むのが良い。ただし、従うべき相手を選ぶ必要があるため、偉大な人物に会って従うのが良い。

 

六十四卦における配列(序卦伝)

旅して容(い)るる所なし。故にこれを受くるに巽(そん)をもってす。

(火山旅によって)旅をしている時には他人に受け入れてもらえない。そのため、人のふところに入り込むような従順な姿勢が必要である。ゆえにこれを受けるに巽をもって表す。

 

巽為風の占考

関連ワード

従う、伏する、侵入する、迷う

 

運勢

迷いが生じて決断ができず、心が定まらない時。

心が不安定な時には、良くも悪くも物事が変わりやすい。

自分自身や身辺に変化が多い。

 

願望

柔軟な姿勢で臨機応変に行動ができれば、小さな願いは叶う。

 

恋愛・関係

お互いに迷いが多く、不安定な関係。

相手から好かれることが多いが、相互に決断力がないため具体化しない。

 

結婚

相手からは望まれるため、こちらが応じればまとまる。

ただし、縁談がまとまるまでに優柔不断になりやすい。

また、婚後も何かと波乱が多く落ち着かない。

 

性格

人に従い、目上に逆らわない人。

商人に向いている。

決断力は乏しい。

 

事業・方策

下請けなど、相手が主導の事業は順調に進む。

偉大な人や尊敬できる人を応援するのも良い。

事業を新しく始めたり、人に逆らったりすることは凶。

 

住居

商売として利用するなら可。

住居としては心が落ち着かず、改築や移転をするのが良い。

 

相場

上下の浮動が多く、安定しない。

売り買いのタイミングを掴むのが困難な時。

 

旅行

計画を立てない小旅行をするのが良い。

商売に関連するなら遠出も可。

 

病気

風邪、鬱、神経痛、伝染病、感染症、腸の疾病、性病、痔など。

治療が一進一退となり安定せず、悪化や長病の恐れあり。

 

巽為風の爻辞

※爻は下から数え、九は陽・六は陰を表す
 (例えば「初九」は一番下の陽の爻のこと)

初六

進み退く。武人(ぶじん)の貞(てい)に利あり。

(進んだり退いたりして、決断ができない。もし武人のような勇ましい態度を持って決断することができれば、利を得るだろう。)

→ 迷いが多く優柔不断となり、結局は何も成功せずに終わってしまう。多少の失敗や損失を覚悟して、無理にでも一歩を踏み出すべし。自信と信念を持って、やれるだけやってみること。

 

九二

巽(したが)って牀下(しょうか)にあり。史巫(しふ)を用(もち)うること紛若(ふんじゃく)たれば、吉にして咎(とが)なし。

(神の前でへりくだり、寝台の下で伏している。神官や巫女を多く用いて、神への誠意を言葉で表すことができれば、吉であり咎めはない。)

→ ひたすらに謙虚な姿勢を保ち、誠意を言葉で表すこと。特に目上の人の意見に従うようにすれば吉を得る。

 

九三

頻(しき)りに巽(したが)う。吝(りん)なり。

(高い位にあるため、表面上だけしきりにへりくだる真似をしている。恥ずべきことである。)

→ 心に沿わない行動をするならば必ず行き詰まり、恥をかく。何も得られずに、信頼や時間を失うだろう。

 

六四

悔(くい)亡(ほろ)ぶ。田(かり)して三品(さんぴん)を獲(え)たり。

(後悔は消える。狩りをすればたくさん獲物を得られるように、何かしら行動すれば良い結果を得られるだろう。)

→ 柔順な姿勢によって円滑な人間関係が構築され、目上からの信頼と部下からの助力を得られる時。何事も上手く行くようになる。ただし、大きな望みは叶わないので、大ごとになる場合は思いとどまるのが良い。

 

九五

貞(ただ)しければ吉にして悔(くい)亡(ほろ)ぶ。利あらざるなし。初めなくして終りあり。庚(こう)に先だつこと三日、庚に後(おく)るること三日。吉なり。

(正道を守れば吉であり後悔も消える。何事にも利益がある。初めのうちは後悔が消えることはないが、終わりには消える。物事を変更する場合は、その前後三日に慎重になれば吉である。)

→ 謙虚な姿勢で努力を続けていれば、必ず成果を得る。初めは心配だが、最終的には杞憂に終わる。堅い信念を持って、継続することが重要。また、物事を変更する場合は、その前後に慎重になることで吉を招く。

 

上九

巽(したが)って牀下(しょうか)にあり。其(そ)の資斧(しふ)を喪(うしな)う。貞(まさ)に凶。

(高い位にありながら寝台に伏し、過度にへりくだっている。高位の徳の象徴である鋭利な斧を失ったようである。まさしく凶。)

→ 相手に気に入られるために必要以上に媚びてはいけない。自分が本来持ち合わせている徳や決断力を台無しにする行為である。立場や信頼を失うこととなり、まさに凶である。

 

(参考:鹿島秀峰「現代易占詳解」、本田濟「易」ほか)

  • この記事を書いた人

しんのすけ

1986年、愛知生まれ。アメリカの大学卒業。金融危機下でなんとか就職するも、会社の歯車として働くことに疑問を感じていた。その後「やりたいことをやる」という信念のもと、現在に至るまで7社5職種+独立・起業のキャリアを経験。プライベートでは易学の研究や中国語の勉強も。台湾が大好き。

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