六十四卦

22. 山火賁(さんかひ) -易経・六十四卦-

2020年10月3日

キーポイント

山(☶)の下で火(☲)を焚けば、光が樹木を照らして彩鮮やかに美しく見えます。

また、山が紅葉して飾られている様子でもあります。

しかしその美しさは一時的なものであるので、派手にしすぎずに質素にすることが大切です。

美術や学問には良い卦。

 

山火賁(さんかひ)について

卦辞(山火賁の概要)

賁は、亨(とお)る。小(すこ)しく往くところあるに利あり。

賁では思うこと通る。ただし、小さいことに限って乗り出していけば利がある。

 

六十四卦における配列(序卦伝)

とは合(ごう)なり。物もって苟(いや)しくも合うのみなるべからず。故にこれを受くるに賁(ひ)をもってす。

(火雷噬嗑による)嗑は合のことである。物を合わせるときは無秩序であってはいけない。調和や美が必要なのである。ゆえにこれを受けるに賁をもって表す。

 

山火賁の占考

関連ワード

装飾、派手、文明、見栄、美術、芸術、芸能、宣伝、広告。

 

運勢

表面上は美しく派手に見えるが、内容が乏しい。

見栄を張らず、中身の充実を図ること。

芸術家や芸能人にとっては運気が盛んとなる時。

中間に障害があって、思うように進展させられないこともある。

 

願望

学問、美術、芸術などの願望は叶う。

その他のことは、外見より中身で勝負すること。

 

恋愛・関係

内面の偽り、あるいは相手との間に支障があり、上手くいかない。

長所のみを見るのではなく、短所にも目を向けること。

外見を飾らず、中身の誠実さを示すべし。

 

結婚

表面にとらわれて内面を見誤る恐れあり。

婚後は質素を忘れないこと。見栄を張ることで家庭内の経済が行き詰まる。

 

性格

美的センスが良い人。

派手好きで、虚栄心が強い。

文学、芸術、芸能、美容、装飾に関係すると良い。

 

事業・方策

宣伝や広告を活用すると良い。

美に関わる事業は特に吉。

店舗や人物などの外見を美しく見せること。

 

住居

装飾や照明に工夫すると吉。

改築も吉だが新築は不可。

移転は見合わせる方が良い。

 

相場

好材料があるように見えるが、実際は冴えない。

過大な期待はしない方が良い。

 

旅行

派手になりがちなので、出費に注意すること。

海外旅行は不可。

 

病気

過食、消化器の疾病、運動不足による心臓疾患、腹部の腫瘍、腰痛など。

持病化する傾向あり。

 

山火賁の爻辞

※爻は下から数え、九は陽・六は陰を表す
 (例えば「初九」は一番下の陽の爻のこと)

初九

その趾(あし)を賁(かざ)る。車を舎てて徒(かち)よりす。

(自分の行く道を美しく飾る。車を捨てて、心やすらかに徒歩で行く。)

→ 質素にして徐々に前進するべき時。見栄を張らずに自分に見合った目標に進んでいくことが重要。

 

六二

その須(ひげ)を賁(かざ)る

(髭を飾り、目上の実力者とともに行動する。)

→ 目上に依存することが必要。実力不足で大望は叶わないが、小事は叶う。

 

九三

賁如(ひじょ)たり濡如(じゅじょ)たり。永貞(えいてい)なれば吉。

(上下の陰爻に挟まれていることで、飾りがあり、濡れて光沢があるように際立っている。ただし、その場所に奢ることがないよう、永く正道を守ること。そうすれば吉である。)

→ 見栄を張って失敗しないよう気を付ける時。質素にして、地道な努力を続けること。

 

六四

賁如(ひじょ)たるもの皤如(はじょ)たり。白馬翰如(かんじょ)たり。寇(あだ)するにあらず婚媾(こんこう)せんとす。

(初九と応爻となり飾られるべき身だが、まだその身には何も飾られていない。白い馬にのって飛ぶように初九に会いにいくも九三に妨害される。しかしそれは悪気があるからではなく、九三も六四と結婚したいからである。)

→ 今は力量や技術がなくても、自分の信念を貫くこと。分かった気になったり、錯覚したりして判断を誤らないようにすべし。

 

六五

丘園(きゅうえん)に賁(かざ)る。束帛戔々(そくはくさんさん)たり。吝(りん)なるも終(つい)には吉なり。

(質素な場所に飾る。一束の絹が少々積まれているだけであり、これは恥である。しかし質素であることは良いことなので、最後には吉を得るだろう。)

→ 将来に向けて質素倹約する時。その途中で批判を受けることもあるが、気にせずに内面の充実を図るべし。

 

上九

白く賁(かざ)る。咎(とが)なし。

(飾りのむなしさを悟って無地に戻る。咎めはない。)

→ 見栄を取り去って本来の自分に戻るべし。落ち着き堅実となった姿勢を取ることが運気を招く。

 

(参考:鹿島秀峰「現代易占詳解」、本田濟「易」ほか)

  • この記事を書いた人

しんのすけ

1986年、愛知生まれ。アメリカの大学卒業。金融危機下でなんとか就職するも、会社の歯車として働くことに疑問を感じていた。その後「やりたいことをやる」という信念のもと、現在に至るまで7社5職種+独立・起業のキャリアを経験。プライベートでは易学の研究や中国語の勉強も。台湾が大好き。

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