六十四卦

64. 火水未済(かすいびせい) -易経・六十四卦-

2021年3月25日

キーポイント

奇数位に陰爻があり、偶数位に陽爻があるため、未済の爻はすべて不正位となっています。

ゆえに未済は完璧でないこと、完成されていないことを表しています。

新月は徐々に満月へと向かうので、将来に希望が持てます。

ただし、力量が不足しているにもかかわらず危険を冒せば、失敗を犯して何も得られず終わってしまいます。

 

火水未済(かすいびせい)について

卦辞(火水未済の概要)

未済(びせい)は、亨(とお)る。小狐(しょうこ)汔(ほと)んど済(わた)る。其(そ)の尾を濡らす。利するところなし。

未済では、願いは叶う。小さな狐が川をほとんど渡り切ろうとする時に、その尾を濡らしてしまい結局渡れない。何の利益も得られない。

 

六十四卦における配列(序卦伝)

物は窮まるべからざるなり。故にこれを受くるに未済(びせい)をもってしてここに終る。

(水火既済によって)物は完成するが、完成したままで行き止まることはない。ゆえにこれを受けるに未済をもって表す。

 

火水未済の占考

関連ワード

未完成、未熟、時期尚早、次第に調和する、次第にまとまる

 

運勢

現在は問題が多く不調だが、次第に状況は好転し調和する。

未熟であるため、忍耐や努力が必要な時。

男性は女性から不遇な扱いを受けて難あり。

 

願望

忍耐強く努力を続けることで最終的に叶う。

ただし強固な意志が必要。

 

恋愛・関係

お互いにこだわりが強いため、初めは不和。

しかし、次第に調和して吉。

女性が積極的になると、男性は退いてしまうため注意。

 

結婚

現在は支障が多いが、時が経てば解決する。

まとめるのが良い縁談。

男性はしばらく引け目を感じることになるが、次第に調和して安泰となる。

 

性格

外見は明るい性格に見えるが、内面に悩みを持つ人。

現在は不遇だが、将来発展する可能性がある人。

 

事業・方策

初めは準備不足のため支障が多いが、長期的に考えれば順調に行く。

人に尽くす心掛けがあると吉を招く。

 

住居

不満のある箇所の修繕や改築は良い。

移転は好機を待つべし。

 

相場

初めは安値だが、次第に上昇して高値となる。

ただし、小刻みに浮動するため短期的な利益を得るのは困難。

 

旅行

忘れ物や予約の手違いなど、準備段階でのミスに注意。

旅の序盤はトラブルが起きやすいが、後半になるにつれて順調となる。

 

病気

精神病、腎臓・膀胱・尿道などの疾病、心臓・血液の病、目の疾患など。

長期化する傾向のある病は治癒困難の恐れあり。

 

火水未済の爻辞

※爻は下から数え、九は陽・六は陰を表す
 (例えば「初九」は一番下の陽の爻のこと)

初六

其(そ)の尾を濡らす。吝(りん)なり。

(狐が川を渡ろうとして、その尾を濡らして失敗する。恥ずべきことである。)

→ 自分の力量を過信することで失敗を招く。分相応なことだけに集中し、何か大きなことをしたいのなら好機を待つべし。

 

九二

其(そ)の輪を曳(ひ)く。貞(ただ)しくして吉。

(川を渡ろうとする車を後ろから引っ張る。盲進することなく制御ができていることは正しい姿勢であると言える。吉である。)

→ 今は自己を抑制して、実力を養う時。思慮深く待機していれば、後になって功績を上げる。

 

六三

未(いま)だ済(な)らず。征(ゆ)けば凶。大川(たいせん)を渉(わた)るに利あり。

(事はまだ調わない。積極的に進めば凶となるだろう。しかし、臆病なくらい慎重な姿勢を保つことは、大川を渡る時に有利である。)

→ 基本的には時期尚早であるため、積極的な行動は控えて実力を養うべし。ただし、絶好機が訪れた時に十分な自信があるならば、満を持して進んでも良い。

 

九四

貞(ただ)しければ吉にして悔(くい)亡(ほろ)ぶ。震(うご)いて用(もっ)て鬼方(きほう)を伐(う)つ。三年にして大国を賞せらるることあり。

(正道を守り続けていれば吉であり、未然に後悔も防ぐことができる。勢いと勇気を用いて自分を奮い立たせ、敵国の鬼方に討ち勝つ。三年という長い時間を費やせば、国から褒美をもらえることもあるだろう。)

→ 今まで不可能と思われたことも、更なる努力を用いれば達成することがある。ただし、すぐには達成できず、長い時間が必要となる。

 

六五

貞(ただ)しくして吉。悔(くい)なし。君子の光あり。孚(まこと)あり。吉なり。

(正道を守ることで吉を得る。悔いはない。君子として光り輝く徳がある。誠実さがある。そのためさらに吉を得る。)

→ これまでの努力や謙虚な姿勢が実を結んで、吉を得る時。ただし、これに油断せずに引き続き努力や謙虚な姿勢を保つのが良い。そうすれば更なる吉を得られる。

 

上九

飲酒に孚(まこと)あり。咎(とが)なし。其(そ)の首(こうべ)を濡らすときは、孚(まこと)あること是(ここ)に失わる。

(事が調わない時は、酒を飲んでその時間を楽しみつつ、泰然と待っているのが良い。ただし、頭まで浸かるほど酒を飲みすぎてしまうようなら、その泰然な姿勢は失われてしまう。)

→ 今まで不可能と思われたことに対して、あまり悲観的になる必要はない。落ち着いてゆったりと好機を待っていれば良い。しかし、油断をしていると過ちを犯してしまう。節度を守ることが重要。

 

(参考:鹿島秀峰「現代易占詳解」、本田濟「易」ほか)

  • この記事を書いた人

しんのすけ

1986年、愛知生まれ。アメリカの大学卒業。金融危機下でなんとか就職するも、会社の歯車として働くことに疑問を感じていた。その後「やりたいことをやる」という信念のもと、現在に至るまで7社5職種+独立・起業のキャリアを経験。プライベートでは易学の研究や中国語の勉強も。台湾が大好き。

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