六十四卦

易における「六十四卦」とは何か(六十四卦の一覧表つき)

2021年5月5日

易とは、古代中国で創られた「宇宙の全真理」を詰め込んだ哲学あるいは科学のような思想です。

この全真理を表現する手段が六十四卦(ろくじゅうしけ・ろくじゅうしか・ろくじゅうよんけ)です。

すごく簡単に例えると、言語における単語のようなもの。

ただし、ひとつの単語(ひとつの卦)だけでもとんでもなく奥が深い意味が内包されています。

六十四個の卦で宇宙の全真理を表現できるわけですからね。

そんな奥深い六十四卦を用いて、どれだけ正確に先を読めるか。

これが易者の腕の見せ所というわけです。

今回はその六十四卦について、現役易者の晋之助が説明していきたいと思います。

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晋之助

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六十四卦の一覧表



















11
地天泰


26
山天大畜


5
水天需


9
風天小畜


34
雷天大壮


14
火天大有


43
沢天夬


1
乾為天




19
地沢臨


41
山沢損


60
水沢節


61
風沢中孚


54
雷沢帰妹


38
火沢睽


58
兌為沢


10
天沢履




36
地火明夷


22
山火賁


63
水火既済


37
風火家人


55
雷火豊


30
離為火


49
沢火革


13
天火同人




24
地雷復


27
山雷頤


3
水雷屯


42
風雷益


51
震為雷


21
火雷噬嗑


17
沢雷随


25
天雷无妄




46
地風升


18
山風蠱


48
水風井


57
巽為風


32
雷風恒


50
火風鼎


28
沢風大過


44
天風姤




7
地水師


4
山水蒙


29
坎為水


59
風水渙


40
雷水解


64
火水未済


47
沢水困


6

天水訟




15
地山謙


52
艮為山


39
水山蹇


53
風山漸


62
雷山小過


56
火山旅


31
沢山咸


33
天山遯




2
坤為地


23
山地剥


8
水地比


20
風地観


16
雷地豫


35
火地晋


45
沢地萃


12
天地否


六十四卦とは

まず「易」とは何か

冒頭でも少し触れましたが、易とは宇宙の真理をまとめた思想です。

よくこのブログでは、分かりやすさを優先して「易とは古代中国の四書五経に名を連ねる書物『易経』にまとめられた哲学や思想のこと」と説明しています。

ただ、易の考えが形になって表れたのは『易経』の編纂に孔子が携わった春秋時代(紀元前5世紀ごろ)よりさらに数千年前のことになります。

今からおよそ三、四千年前に当時の中国に存在したとされる大思想家伏羲(ふっき・ふくぎ)が天地自然の万法を陰陽を用いた「卦(か・け)」で表したことが始まりと言われています。

詳しくは【現役易者が分かりやすく紐解く「易とは何か?」】の記事でご紹介していますので、ご興味ある方はそちらもぜひご覧ください。

 

六十四卦は八卦から成り立つ

さて、伏羲によって「卦」が生み出されたわけですが、初めから六十四個の卦があったわけではありません。

まず初めに創られたのは八つの卦である「八卦(はっけ・はっか)」でした。

八卦は「天・沢・火・雷・風・水・山・地」の八原子からなります。

伏羲は天地万物はこの八原子の集合によって成り立っていると考えたわけです。

文字だけを見ると自然界のものだけを指しているように感じます。

しかし「天地万物」というほどですから、もちろんこの八卦は人間界の事象にも当てはまります。

天=尊いもの、王、剛健… あるいは 沢=悦び、会話、愛嬌… という具合です。

そしてさらに、こうした万物の原子である八卦を2つ重ねて掛け合わせることで、この世のあらゆるものを表現する手段が確立されました。

八かける八で六十四。

天×天=乾、地×地=坤、水×雷=屯、という具合に六十四個の卦にはすべて名前が付けられています。

これが六十四卦の成り立ちです。

したがって、六十四卦を知るためには八卦の知識も必要となります。

八卦については【易経のきほん「八卦」とは】という記事も参考にしてみてください。

 

万物の事象を表す

こうして八卦という万象の原子に基づき六十四卦が生み出されたことにより、この世のあらゆる事象を詳細に表現できるようになりました。

化学における元素があらゆる物質を構成しているのと似ていますね。

この六十四卦それぞれに含まれている意味を体系的にまとめたものが、かの有名な『易経』という書物なわけです。

その内容は「生死」「進退」「存亡」「盛衰」など、この世における不変の真理を紐解くために不可欠なものです。

また、唐の時代の政治家である虞世南(ぐ せいなん)はこう述べています。

「易を知らざる者は宰相たる資格なし」

宰相は今の日本でいう総理大臣といったところでしょう。

そのほかにも、中国や日本の戦国時代において軍師が易を用いて戦況を予見していたというのも有名な話。

あらゆる災いを未然に防ぎ、あらゆる争いを未発のうちに解決することができる手段として、万物の事象を表す易は古くから重宝されてきたのです。

 

六十四卦の物語「序卦伝」

『易経』という書物は、大きく分けると以下の二部構成となっています。

六十四個それぞれの卦の概念を記している「経」と、その解説を集めた「伝」から成り立っています。

ちなみに「伝」は全部で十篇あり、「十翼」とも呼ばれます。

「序卦伝(じょかでん)」はその十翼の一つであり、六十四卦の配列を解説しているものです。

ここで冒頭にある六十四卦の一覧表を見てみてください。

おそらく「卦と併記された数字はなぜバラバラに並んでいるのか」と疑問に感じた方もいるかもしれません。

この数字こそが序卦伝で解説されている六十四卦の順番なのです。

一見するとなんの法則性もないように見えますが、序卦伝を読むことでひとつひとつの卦の繋がりに物語のような意味が込められていることが分かります。

序卦伝による六十四卦すべての物語はまた別の記事にまとめたいと思います。

 

ただの棒ではない?爻(こう)の役割

爻(こう)とは

爻は卦を構成する単位であり、誤解を恐れずにシンプルに言うと横棒のことを指しています。

八卦は ☰(天)や ☷(地)のように三爻からなります。

ちなみに横一本線の「⚊」は陽を表し、横に二本線の「⚋」は陰を表しています。

そして六十四卦は ䷀(乾為天)や ䷁(坤為地)のように六爻から構成されています。

 

数え方

まず、爻を数える時は三つのルールがあります。

ルール

  • 卦の下から上に向かって数えます
  • 順番に数える場合は一番下と一番上の爻だけ特殊です(一番下は「初」、一番上は「上」)
  • 呼び方の要素として、陽を表す横一本線の「⚊」を九と呼び、陰を表す横二本線の「⚋」を六と呼びます

それでは例として、序卦伝で最後の卦となっている ䷿(火水未済)の爻を下から数えてみましょう。

下に ☵(水)、上に ☲(火)の卦が並んでいますので、【初六、九二、六三、九四、六五、上九】 と爻を数えることができます。

なぜ数え方を知っておく必要があるかというと、卦の爻にはそれぞれにひとつひとつ意味があるからです。

これは「爻辞」として、書物「易経」で卦の概念を記している「経」のパートで触れられています。

例に挙げた火水未済の爻辞を見てみてください。

火水未済の卦における爻辞が説かれているのが分かります。

この爻辞というのは、それぞれの卦で異なります。

つまり、ひとつの卦は六爻から成り、六十四卦すべての卦において爻の意味が異なるということは、6 × 64 = 384 通り もの表現の幅があるということです。

易にこれだけの幅があると分かれば「六十四卦が万象を表す」という概念にも納得ですね。

 

爻位

六十四卦における六つの爻にはそれぞれ位(くらい)という考え方があります。

基本的に下にある位は低いものを指し、上にある位は高いものを指します。

社会的地位  会社    人体  
 上爻 天皇、隠者会長
 五爻 社長
 四爻 公卿専務
 三爻 大夫部長
 二爻 士族課長
 初爻 庶民平社員下脚

 

二爻めと五爻めのことを「中」と呼びます。

二爻は下の卦(内卦)の中心であり、五爻は上の卦(外卦)の中心だからです。

中はその卦の核となる爻であるため、卦の読み方の最も重要な判断基準の一つに挙げられます。

 

正と不正

定められた陽の位に陽爻が存在し、定められた陰の位に陰爻が存在する状態を「正」とし、逆にそうでない状態を「不正」といいます。

陽の位は「初爻、三爻、五爻」といった奇数爻であり、陰の位は「二爻、四爻、上爻」を指します。

すべての爻において正位を得ているのは、水火既済の卦のみであり、その他の卦は多かれ少なかれ正と不正を含んでいます。

上爻(陰位)  ⚋  
五爻(陽位)  ⚊  
四爻(陰位)  ⚋  
三爻(陽位)  ⚊  
二爻(陰位)  ⚋  
初爻(陽位)  ⚊  
外卦☵・内卦☲の水火既済

 

外卦と内卦の相対する爻の組み合わせが陽と陰の場合、これを応と言います。

相対する爻というのは、「初爻 × 四爻」「二爻 × 五爻」「三爻 × 上爻」のペアのことです。

また、この応の考え方においても「中」である二爻と五爻を重要視しており、この中の爻が陰と陽の組み合わせだった場合は良しとされています。

この応の観点から見ても、上の項で挙げた水火既済の卦は全爻において応が発生している理想的な形と言えます。

 

まとめ

今回は「六十四卦とは何か?」というテーマについて、現役の易者である私、晋之助がお伝えしてきました。

ではこの記事の振り返ります。


六十四卦の一覧表:

六十四卦とは:
・まず「易」とは何か
・六十四卦は八卦から成り立つ
・万物の事象を表す
・六十四卦の物語「序卦伝」

ただの棒ではない?爻(こう)の役割:
・爻(こう)とは
・数え方
・爻位
・中
・正と不正
・応

六十四卦に詰まった意味を理解するのは、易者として何年もの研鑽が必要です。

十年学んでようやく半人前とも言われています。

万物の真理を追究する易経、そしてその表現手段である六十四卦に興味を抱いた人は、ぜひその神秘に触れてみてください。

  • この記事を書いた人

しんのすけ

1986年、愛知生まれ。アメリカの大学卒業。金融危機下でなんとか就職するも、会社の歯車として働くことに疑問を感じていた。その後「やりたいことをやる」という信念のもと、現在に至るまで7社5職種+独立・起業のキャリアを経験。プライベートでは易学の研究や中国語の勉強も。台湾が大好き。

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