六十四卦

34. 雷天大壮(らいてんたいそう) -易経・六十四卦-

2020年11月3日

キーポイント

大壮は、盛んになって運気が上昇し発展する時期を意味します。

ただし、勢い余って進みすぎると思わぬ過失が生じてしまいます。

勢いに身を任せ過ぎず、調子に乗らずに気を落ち着けて進んでいくようにしましょう。

 

雷天大壮(らいてんたいそう)について

卦辞(雷天大壮の概要)

大壮は、貞(ただ)しきに利あり。

大は陽、壮は盛んという意味。卦を見ると4つの陽が下から盛んに伸びており、成長しているのが分かる。占って大壮を得れば、願い事が叶って吉である。ただし、この盛んな勢いが間違った方向に向いてしまってはただの乱暴になってしまうため、正道を守ることが条件となる。

 

六十四卦における配列(序卦伝)

遯とは退(しりぞ)くなり。物もって遯に終るべからず。故にこれを受くるに大壮(たいそう)をもってす。

(天山遯の)遯は退くということである、物事は退いたまま終わらせてはいけないので、勢いよく盛んになる必要がある。ゆえにこれを受けるに大壮をもって表す。

 

雷天大壮の占考

関連ワード

壮大、盛大、勇猛、発展、勢い、猪突猛進、やり過ぎ

 

運勢

気力や体力が満ち溢れ、前進する勢いに乗っている時。

自制が効かずに猛進すると、挫折や人間関係の不和を引き起こしやすい。

交通事故に注意。

 

願望

分相応のことは大いに叶う。

調子に乗って多くのことを望みすぎると凶となるので気を付けること。

 

恋愛・関係

こちらの勢いが強すぎて相手が退く。あるいは争論やけんかに発展する。

気を落ち着けて、柔和な姿勢で相手と接すること。

 

結婚

大壮の卦は下記のように大きな兌(☱)とも見なせる。

基本的には和となりおめでたい縁談ではあるが、勢いに乗って一気にまとめようとしないこと。

猛進すると後悔する。

☳ → ☱

※大壮の卦(左)の爻を上下二爻ずつ束ねると、兌の卦(右)になる

 

性格

積極的で自信家。

落ち着きがなく、騒がしく、行動的。

少々やり過ぎなところもある。

 

事業・方策

大壮の卦は下記のように大きな兌(☱)とも見なせる。

基本的には和となり、内外を充実させれば大吉となる。

ただし、猛進しては失敗してしまうため、落ち着いて徐々に商談を進めていくこと。

☳ → ☱

※大壮の卦(左)の爻を上下二爻ずつ束ねると、兌の卦(右)になる

 

住居

すぐには動かず静観すること。

新築や移転を思い立つ時期だが、好機を待つ方が良い。

 

相場

現在が安値にあれば、大きく高騰する。

しかし勢いがいつまでも続くわけではないので先行きには警戒すること。

 

旅行

準備と慎重さを忘れないこと。

特に交通事故に注意。

未開の地に行くような冒険旅行は吉。

 

病気

鋭い痛みの頭痛、口中・咽喉の疾患、怪我、大熱など。

症状の勢いが強く、悪化も早い。怠慢や油断をせずに節制すること。

 

雷天大壮の爻辞

※爻は下から数え、九は陽・六は陰を表す
 (例えば「初九」は一番下の陽の爻のこと)

初九

趾(あし)に壮(さかん)なり。征(ゆ)けば凶。孚(まこと)有り。

(足首が盛んに進み動こうとしている。一番下にある初九が盛んに進もうとするのは、身の程を知らないからである。動けば必ず凶。)

→ 考えなしに動くと厄災がある。今は動く時ではない。静観して機を待つこと。

 

九二

貞(ただ)しければ吉なり

(盛んな勢いの中で、中庸を心掛けて正道を守れば吉である。)

→ 現状を守り、何事も控えめにして冷静に対応すること。新しいことに心が移らないように注意。

 

九三

小人は壮を用い、君子は用うること罔(な)し。貞(ただ)しけれども厲(あやう)し。羝羊(ていよう)、藩(まがき)に触れて、その角を羸(くるし)ましむ

(小人は相手に勝つことに捉われるので、盛んな勢いを用いる。君子は自分に勝つことを心掛けるので勢いを用いることはない。勢いを用いる際は正道を守っていても危険なものだ。例えるなら、牡の羊が暴走して生け垣に突っ込み、角がいばらに絡まって苦しむようなものである。)

→ 自信過剰となって猛進するが、結局は失敗する。今は進むことを止め、現状を守ることに努めるべし。

 

九四

貞(ただ)しければ吉にして悔(くい)亡(ほろ)ぶ。藩(まがき)決(ひら)けて、羸(くるし)まず。大輿(だいよ)の輹(とこしばり)に壮(さか)んなり

(正道を守るのであれば吉になり、悔いも事前に無くなるだろう。牡の羊が走り出しても生け垣は開けて、角にいばらが絡まることもない。大きな車の軸受けが頑丈であるので、大いに前進することができる。)

→ 勢いにのってスムーズに前進することができる。気負う必要はなく、平常の実力を発揮すれば順調に進展する。

 

六五

羊を易(えき)に喪(うしな)う。悔いなし

(羊を田のあぜ道で見失ってしまったが、後悔することはない。)

→ 勢いが盛んすぎた時期は過ぎ、警戒する必要がなくなり安心が訪れた。欲望は表面に出さず、臨機応変に時の流れに身を任せるのが良い。

 

上六

羝羊(ていよう)、藩(まがき)に触る。退く能わず、遂(すす)む能わず。利するところなし。艱(くる)しめば吉

(牡の羊が暴走して生け垣に突っ込み、退くことも進むこともできない。何の利益もない。ただし、困難な立場を自覚して耐え忍ぶことができればいずれ吉となる。)

→ 自信過剰により猛進して、進退が窮する時。自分の力不足を自覚して、困難な状況であってもむやみに動かず耐えることができれば吉となる。

 

(参考:鹿島秀峰「現代易占詳解」、本田濟「易」ほか)

  • この記事を書いた人

しんのすけ

1986年、愛知生まれ。アメリカの大学卒業。金融危機下でなんとか就職するも、会社の歯車として働くことに疑問を感じていた。その後「やりたいことをやる」という信念のもと、現在に至るまで7社5職種+独立・起業のキャリアを経験。プライベートでは易学の研究や中国語の勉強も。台湾が大好き。

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