六十四卦

36. 地火明夷(ちかめいい) -易経・六十四卦-

2020年11月9日

キーポイント

太陽が地の下に入り、暗闇となるという意味。

暗闇が続く間は物がよく見えないため、大したことでないことも心配になりがちです。

明るくなるまで気を落とさずに、自分の才能や信念を磨きながら夜明けを待つ心掛けが大切です。

必ず夜は明けるものだからです。

 

地火明夷(ちかめいい)について

卦辞(地火明夷の概要)

明夷は、艱貞(かんてい)に利あり。

艱難を自覚して、苦しみながらも正道を守っていれば利益があるだろう。

 

六十四卦における配列(序卦伝)

晋とは進なり。進めば必ず傷(やぶ)るるところあり。故にこれを受くるに明夷(めいい)をもってす。

(火地晋の)晋は進むことである。進めば必ず傷つくことがある。ゆえにこれを受けるに明夷をもって表す。

 

地火明夷の占考

関連ワード

傷、破れる、暗い、夜、心配、苦労、詐欺

 

運勢

妨害や中傷を受けるような困難が多い時。

耐え忍んで好機が来るのを待つのが良い。

積極的に進もうとするより、現状を守ることを優先すべし。

 

願望

願望叶わず。怒りや苦しみなどをじっとこらえて、軽々しい行いをせずに時が来るのを待つこと。

大切なことや新しい挑戦などは、別のタイミングに延期するのが良い。

 

恋愛・関係

人目を忍んで育むような恋。

あるいは相手に隠し事がある時。

お互いのことを理解できていないために、争いごとが起きやすい。

 

結婚

成立しない。

事前にしっかりと調査をしておかないと、後になって誤解による大きなトラブルが生じる。

 

性格

内には才能や力量がありながら、時運に恵まれない人。

内向的で、発展性に乏しい性格。

誤解などから災難に遭いやすい人。

 

事業・方策

時運に恵まれず、あらゆる計画が無駄になる可能性あり。

今は智恵を蓄えて勝機が来るのを待つべし。

機密情報の漏洩には注意すること。

 

住居

住み心地が良くない。

改築するのは良いが、新築や移転は延期する方が無難。

 

相場

冴えない時期となる。

高値圏にあるときは、下落の一途をたどる。

 

旅行

取り止めるべし。

誤解や行き違いによりトラブルが発生する恐れあり。

 

病気

神経衰弱、ノイローゼ、心臓病、肺病、眼病、胃がん、胃腸がんなど。

外見では分からないが、内部で悪化している場合が多く、治療するのが困難。

 

地火明夷の爻辞

※爻は下から数え、九は陽・六は陰を表す
 (例えば「初九」は一番下の陽の爻のこと)

初九

明夷(めいい)于(ゆ)き飛んで、その翼を垂(た)る。君子于(ゆ)き行(ゆ)く、三日食(くら)わず。往(ゆ)くところあれば、主人言(ものい)うことあり。

(傷つきながらも危険から飛んで逃げることはできる。ただし、傷ついた状態では翼も垂れてしまう。旅に出ても三日は飯が食えないだろうし、どこかに泊めてもらおうとしてもその家の主人を怪しんで文句を言うだろう。)

→ とにかく障害が起きやすいが対抗しようとしないこと。自分の行いが間違っているのではなく、世の中が狂っている。逃げるが勝ち。

 

六二

明夷(めいい)、左の股(もも)を夷(やぶ)る。用(もっ)て拯(すく)うに馬壮(さか)んなれば吉なり。

(左の腿が傷ついた。歩くのに支障があるが、強壮な馬に救ってもらえれば、逃げ延びることができるので吉である。)

→ 何事にも妨害や障害が付いて回る時だが、強力な第三者の助力を得て無事となる。

 

九三

明夷(めいい)、南に于(ゆ)きて狩(かり)し、その大首(だいしゅ)を得(う)。疾(と)く貞(ただ)すべからず

(明智を隠しているが、征伐のために兵を挙げて明るい方角である南に向かい、悪の大将を討ち取ろうとする。ただし、正しいこととはいえ急であってはいけない。)

→ これまで忍耐を続けてきたが、ついに才知を発揮して敵を討つ時。ただしこれは非常事態であるため、判断を間違えないように時間を掛けて万全を期すべし。

 

六四

左の腹に入る。明夷(めいい)の心を獲(え)たり。于(ゆ)きて門庭(もんてい)を出(い)づ。

(悪の大将の腹心として潜り込む。相手の気持ちを掴んでいるので、暴君の近い位置にいても危険はない。自分の門内や庭園に隠れていれば逆に危うく、門を出て相手の陣地内に避難する方が賢明である。)

→ 目的を達成するために境遇を変えるべき時。できるだけ対象に近い位置に踏み込んで行くこと。それも荒々しく踏み込んで行くのではなく、受け入れられるように柔和に振舞うこと。

 

六五

箕子(きし)の明(めい)夷(やぶ)る。貞(ただ)しきに利あり。

(自分の明智をわざと破り捨て、愚かな振る舞いをする。しかし、暴君の支配下にあっても自分の正道は固守すべきである。)

→ 才知を発揮できず、感情を抑えじっと耐え忍ばねばならない時。好機が来るまで自分の本分を忘れずに耐えること。

 

上六

不明にして晦(くら)し。初めには天に登り、後には地に入る。

(明智もなく暗い。明るさから一番遠い、悪の大将である。初めは天に登るほどの高位にあったにも関わらず、他人のみならず自分の身をも亡ぼす振る舞いにより命を狙われ、最後には命を落として地に埋められる。)

→ 凶運に見舞われる。他人の都合を省みず横暴な振る舞いをしてきた報いを受ける時。大いに自己反省して謙虚に自重すれば、厄災を逃れられる兆しあり。

 

(参考:鹿島秀峰「現代易占詳解」、本田濟「易」ほか)

  • この記事を書いた人

しんのすけ

1986年、愛知生まれ。アメリカの大学卒業。金融危機下でなんとか就職するも、会社の歯車として働くことに疑問を感じていた。その後「やりたいことをやる」という信念のもと、現在に至るまで7社5職種+独立・起業のキャリアを経験。プライベートでは易学の研究や中国語の勉強も。台湾が大好き。

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