六十四卦

27. 山雷頤(さんらいい) -易経・六十四卦-

2020年10月9日

キーポイント

山(☶)が上あご、雷(☳)が下あごで、口を開けている形に似ています。

ゆえに頤は言語や飲食を表し、日常の生活を意味します。

また、口は食物を取り込んで体を育てるため、養うという意味もあります。

生活のなかで口論を慎み食事に気を使うことで、どう自分を養っていくかに注意を払うべき卦です。

 

山雷頤(さんらいい)について

卦辞(山雷頤の概要)

頤(い)は、貞(ただ)しければ吉。頤を観る。自ら口実を求む。

頤は、普段何を養っているかを見る。また、どう自分の口を満たそうとしているかも見る。ともに正しければ吉である。

 

六十四卦における配列(序卦伝)

物畜えられて然る後に養うべし。故にこれを受くるに頤(い)をもってす。

(山天大畜により)物が蓄えられれば、それを使ってどう養うかを考える必要がある。ゆえにこれを受けるに頤をもって表す。

 

山雷頤の占考

関連ワード

養う、口を大きく開く、飲食、言語、論争、誇張、喧嘩、協力。

 

運勢

人間関係の対立が起きやすい。

生活に支障や不足がある時。

食事や口論に注意。

 

願望

短期の望みは難しい。

飲食や言語を慎んで、節度あればゆくゆくは叶う。

 

恋愛・関係

お互いに惹かれるところがあるものの、考え方の違いにより口論が発生する。

相手に一歩譲る気持ちで接すると親和する。

職業や経済状況など、生活面の障害から関係に亀裂が入りやすい。

 

結婚

双方望んでおりまとまるように見えるが、素性に関する隠し事あり。

すぐに縁談をまとめるのではなく、じっくりと見極める時間が必要。

 

性格

よく喋る。負けず嫌いで口論、議論が好きな人。

おおげさなことを言うが、中身が伴っていないことが多い。

 

事業・方策

外見を整えるより、内部の充実を図ること。

飲食関係の事業は吉。

 

住居

改築するには良い。

移転の気運は高まるが障害あって果たせず。

 

相場

高値圏で上限に達したらすぐに急落する。乱高下の動きあり。

 

旅行

遠距離旅行はトラブルが起きやすい。

十分に準備をして出発すること。

 

病気

口腔の疾患、歯痛、消化器の疾患、食欲不振など。

外見が良く見えても、中身が傷んでいる。一進一退を繰り返して治療が長引く傾向にある。

 

山雷頤の爻辞

※爻は下から数え、九は陽・六は陰を表す
 (例えば「初九」は一番下の陽の爻のこと)

初九

爾(なんじ)の霊亀(れいき)を舎(す)てて、我を観て頤(い)を朶(た)る。凶。

(汝が持つ知恵を働かそうとせずに、他人の富を口を開けてうらやんでいる。凶。)

→ 自分の持つ力量や知恵を発揮させようとせずに、他人をうらやんで分不相応なことに手を出して失敗する。新しいことや発展させるようなことは控えるべし。成果にこだわらずに努力を積み重ねることに集中すること。

 

六二

顚(さかしま)に頤(やしな)わる、経(つね)に払(もと)れり。丘に(おい)て頤(やしな)わる、往けば凶

(下の者に養われるのは、道理に反している。だからといって、はるか上の者に無理に養われようとしても凶となるだけである。)

→ 目下に助けを求めて信頼を失う。自分の力量も足らず、他人の援助も得られず、困窮する時。

 

六三

頤(やしな)うに払(もと)る。貞(てい)なれども凶。十年用うるなかれ。利するところなし

(不正な動きをしているため、養う道理に反している。養うという行いは正しくても、道理に反していれば凶である。十年間動いてはいけない。何の利もない。)

→ 利益を追い求めることで、悪意がなくても批判を浴びる。何かを得られたとしても、他の何かを失う時。

 

六四

顚(さかしま)に頤(やしな)わるるも吉なり。虎視眈々たり。その欲逐々(ちくちく)たり。咎(とが)なし

(天下を潤すためならば下の者から取り立てても吉である。虎が下をにらむように、侮られてはいけない。その欲は次から次へと追って発せられる。天下に広く施すためであるので、咎めはない。)

→ 目下の有力者や才能のある者の協力を得ることで順調に発展する。ただし、自分のためではなく、周囲のために努力する姿勢を忘れないこと。

 

六五

経(つね)に払(もと)れり。貞(てい)に居れば吉なり。大川(たいせん)を渉(わた)るべからず

(上に立つ者でありながら、民衆を養うことができない。養う道理に反している。ただし、人を養おうという動機は正しいため、正道を守り、さらに上の者を頼ることで吉である。自力で大川を渡るような冒険をしてはいけない。)

→ 高い地位に見合うような力量が発揮できない。見栄えはよくても、中身の実力が足らず苦労する。目上の実力者から協力を得ることで成果を上げる。私利私欲は捨てて、公正な態度で臨むべし。

 

上九

由(よ)って頤(やしな)わ。厲(あやう)くして吉。大川(たいせん)を渉(わた)るに利あり

(君主の委任を受けて民衆を養う。その任を全うできるよう常に自戒をし、行動を慎むことで吉を得る。大川を渡るような危険も乗り越えられ、その先に利がある。)

→ 人から信頼されて、頼まれごとが多い時。自分のことより、他人の依頼や願望に時間と労力を割くことになる。他人からの期待に応えられるようしっかりと努力をすれば、相応の成果を得ることができる。

 

(参考:鹿島秀峰「現代易占詳解」、本田濟「易」ほか)

  • この記事を書いた人

しんのすけ

1986年、愛知生まれ。アメリカの大学卒業。金融危機下でなんとか就職するも、会社の歯車として働くことに疑問を感じていた。その後「やりたいことをやる」という信念のもと、現在に至るまで7社5職種+独立・起業のキャリアを経験。プライベートでは易学の研究や中国語の勉強も。台湾が大好き。

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