六十四卦

28. 沢風大過(たくふうたいか) -易経・六十四卦-

2020年10月11日

キーポイント

大過の両端は陰であり、中の四爻は陽。柱が細いのに屋根が重すぎて、つぶれてしまう心配がある様子を表します。

人も同じで、才能や力量より荷が重すぎれば耐えられず、不安を抱きます。

不安を感じた時には中身を補強すれば良い結果が得られます。

そうすれば大過の不安は、杞憂に終わるでしょう。

 

沢風大過(たくふうたいか)について

卦辞(沢風大過の概要)

大過は、棟撓(むなぎたわ)めり。往くところあるに利あり。亨(とお)る。

棟木がたわむように、重さに耐えかねる。しかし大過は中心が剛健であるため、徳があれば進んでも利があり、願いごと叶う。ただし、常人であれば身の程を過ぎたことであることが多い。

 

六十四卦における配列(序卦伝)

頤とは養うなり。養わざれば動くべからず。故にこれを受くるに大過(たいか)をもってす。

(山雷頤により)頤とは養うことである。養うことができなければ物を動かすことはできない。養いは過度であってもいいくらいだ。ゆえにこれを受けるに大過をもって表す。

 

沢風大過の占考

関連ワード

やり過ぎ、行き過ぎ、過剰、不安、重荷、互いに背く。

 

運勢

何事もやり過ぎや行き過ぎに注意。失敗や挫折のもととなる。

実力不足にも関わらず、大きな責任を背負うこととなる。身動きが取れずに大きな過ちあり。

人間関係が上手くいかず、お互いに背き合うことになる。

 

願望

望みが大きすぎて叶わず。願い事は現実的な内容にすること。

また、人間関係が上手くいかず叶いづらい。

 

恋愛・関係

高望みのために関係が重荷になる。

お互いに意見が合わず、離別となる恐れあり。

 

結婚

避けるのが良い。

縁談はまとまりづらく、強行しても結局は不和となる。

婚後の生活は苦難の道となり、凶。

 

性格

見た目は頼りなく見えるが、性格は自信過剰。

 

事業・方策

実力以上の新規事業や拡大策は失敗のもと。

身内との意見も折り合いが合わない。背反に注意。

 

住居

新築、増築、移転は不可。

改築は土台強化に重きを置けば、場合によって吉。

 

相場

想定以上に高騰となることがあるが、確実な材料ではないため急落する恐れあり。

油断や安心はしないこと。

 

旅行

無理な計画とならないように、現実的に検討すること。

分相応な旅行でなければトラブルを招く。

 

病気

肺結核、内臓疾患、腹部のがん、アルコール中毒、暴飲暴食など。

命の危険がある時。すぐに治療する必要がある。

 

沢風大過の爻辞

※爻は下から数え、九は陽・六は陰を表す
 (例えば「初九」は一番下の陽の爻のこと)

初六

藉(し)くに白茅(はくぼう)を用(もっ)てす。咎(とが)なし。

(白く清潔な茅(ちがや)を敷いて、お供えの器などを置く。丁寧すぎるくらいである。咎めはない。)

→ 何事も控えめにするのが良い時。自分の力量を過小評価するぐらいがちょうど良い。

 

九二

枯楊(こよう)稊(ひこばえ)を生ず。老夫その女妻を得たり。利あらざるなし。

(枯れかけの柳に新しい芽が生じる。老いた夫が若い妻と結ばれるようなものである。利がないこともない。)

→ 諦めていたことに希望の兆しが見えてくる。新しいパートナーや援助によって進展する。

 

九三

棟撓(むなぎたわ)めり。凶なり。

(屋根が重すぎて支える棟木がたわんでいる。凶である。)

→ 分不相応のことを望み、無理に推し進めると不幸に見舞われる。潔く延期するか取り止めるのが良い。

 

九四

棟隆(むなぎたか)し。吉なり。它(た)あれば吝(りん)

(棟木が立派に隆起して屋根の重さに耐えており、吉である。ただし、他の助けを借りようとすると恥をかく。)

→ 自分がすべきことに集中して努力をすれば吉がある時。しかし、他のことに心を移してしまうと失敗する。

 

九五

枯楊(こよう)華を生ず。老婦その士夫を得たり。咎(とが)もなく誉れもなし

(枯れかけの柳が花を咲かせた。老いた独り身の婦人が若い夫と結ばれるようなものである。咎はないが、誉れも得られない。)

→ 諦めていたことに希望の兆しが見えてくる。しかし、一時的なもので持続はしない。調子に乗って高望みしない方が良い。

 

上六

過ぎて渉(わた)る、頂きを滅(つく)す。凶なり。咎(とが)なし

(身の程をわきまえずに大川を歩いて渡り、頭頂まで水に沈んでしまう。凶ではあるが、志ある人が身を投げたのであれば咎めはない。)

→ やむを得ない事情で、危険だと分かりながらも自ら困難に飛び込む時。可能であれば逃避するのが良い。

 

(参考:鹿島秀峰「現代易占詳解」、本田濟「易」ほか)

  • この記事を書いた人

しんのすけ

1986年、愛知生まれ。アメリカの大学卒業。金融危機下でなんとか就職するも、会社の歯車として働くことに疑問を感じていた。その後「やりたいことをやる」という信念のもと、現在に至るまで7社5職種+独立・起業のキャリアを経験。プライベートでは易学の研究や中国語の勉強も。台湾が大好き。

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