六十四卦

18. 山風蠱(さんぷうこ) -易経・六十四卦-

2020年9月25日

キーポイント

蠱の字が表すのは皿の上に虫三匹。皿の上の食物が腐ってしまい虫が湧いている形です。

風(☴)が山(☶)によって遮られてしまい、物が腐ってしまいます。

ところが、蠱には「壊れたら直る」という意味もあり、最後の最後には立ち直ることも表しています。

 

山風蠱(さんぷうこ)について

卦辞(山風蠱の概要)

蠱は、元(おお)いに亨(とお)る。大川(たいせん)を渉(わた)るに利あり。甲に先だつこと三日、甲に後るること三日。

蠱により壊れ切った後は何事も叶う。大きな冒険をするごとく、大川を渡ると利がある。辛(甲の三日前)のように自分の気持ちを新しくし、丁(甲の三日後)のように丁寧に行動すること。そうすれば同じ失敗は繰り返さない。

 

六十四卦における配列(序卦伝)

喜びをもって人に随う者は必ず事(こと)あり。故にこれを受くるに蠱(こ)をもってす。

(沢雷随によって)悦んで人に従っていればそのうち調子に乗ってしまい、やがて崩壊に至る。崩壊した後は必ず事を起こさなければいけない。ゆえにこれを受けるに蠱をもって表す。

 

山風蠱の占考

関連ワード

腐敗、崩壊、不正、共倒れ、内部改革。

 

運勢

内部に問題を抱えている。特に醜い争いごとなどがある時。

内部の改革や、新しい風を呼び込むことが必要。

 

願望

叶うことなし。

新しいことを進めるより、内部改革に着手すべし。

チャンスが来るまで待つのが良い。

 

恋愛・関係

多角関係によりトラブルが発生する時。和合することなし。

年上の女が年少の男を誘うことが多い。

 

結婚

凶。特に年上の女性に警戒すべし。

相手に隠し事がある恐れあり。

縁談は取り止めるのが良い。

 

性格

他人に言えない隠し事があり、内心に迷いがある人。

色欲に溺れやすい。

 

事業・方策

新しいことは不可。

内部の問題を解決することが先。

 

住居

内部に問題あり。

改築すると良い。移転も吉。

 

相場

内部に悪い材料が潜んでいる。

手を出さずに静観するのが良い。

 

旅行

旅先で体や心にダメージを受けることあり。

取り止めるのが良い。

 

病気

遺伝的な病気、便秘、腫瘍など。

病気が根深く完治は難しい。病勢は激しくなる。

 

山風蠱の爻辞

※爻は下から数え、九は陽・六は陰を表す
 (例えば「初九」は一番下の陽の爻のこと)

初六

父の蠱(こと)に幹(かん)たり。子あれば考(ちち)咎(とが)なし。厲(あやぶ)めば終(つい)に吉。

(父が壊してしまったものを取り仕切る。そのような子がいれば父に咎めはないだろう。危険性をしっかりと認識していれば最後には吉を得る。)

→ 先人のあとを継いで、過ちを整理する。円滑には進まないが、コツコツと努力することが重要な時。

 

九二

母の蠱(こと)に幹(かん)たり。貞(てい)にすべからず。

(母が壊してしまったものを取り仕切る。九二は陽爻で剛強なため、正面から攻めることは慎んで正道を守るべきである。)

→ 正論を通そうとすると衝突が発生する。柔軟に対応していくことが良い。

 

九三

父の蠱(こと)に幹(かん)たり。小(すこ)しく悔いあり、大なる咎(とが)なし。

(父が壊してしまったものを取り仕切る。九三は陽爻で剛強なため、少し悔いがあるのはやむを得ない。ただ、動機が正しければ大きな咎めはない。)

→ 思い切って取った手段に対して、周囲から批判を受けることあり。ただ、そうした批判や干渉を気にせずに、継続して敢行していけば結局は成就する。

 

六四

父の蠱(こと)を裕(ゆる)うす。往くときは吝(りん)を見る

(父が壊してしまったものを寛大に見過ごしてしまう。そのまま手を下さないので、進もうとすると恥となるだろう。)

→ 問題を放置したまま、自分の立場が危うくなる時。力ある人の助力を求めるべし。

 

六五

父の蠱(こと)に幹(かん)たり、用(もっ)て誉あり。

(父が壊してしまったものを取り仕切る。応爻の九二が継承してくれるため、立派な後ろ盾がある。結果として名声が高まることは当然である。)

→ 長年の問題が一掃できる時。強力な協力者によって改革を成し遂げることができる。独断的であると失敗するため注意。

 

上九

王侯に事(つか)えず、その事を高尚にす。

(王侯には使えず、自分の生き方を高潔にする。)

→ 問題を解決した後に退いて安住する時。他の醜いことに巻き込まれないよう、干渉しないこと。

 

(参考:鹿島秀峰「現代易占詳解」、本田濟「易」ほか)

  • この記事を書いた人

しんのすけ

1986年、愛知生まれ。アメリカの大学卒業。金融危機下でなんとか就職するも、会社の歯車として働くことに疑問を感じていた。その後「やりたいことをやる」という信念のもと、現在に至るまで7社5職種+独立・起業のキャリアを経験。プライベートでは易学の研究や中国語の勉強も。台湾が大好き。

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