六十四卦

17. 沢雷随(たくらいずい) -易経・六十四卦-

2020年9月24日

沢雷随(たくらいずい)について

卦辞(沢雷随の概要)

随は、元(おお)いに亨(とお)る貞(ただ)しきに利あり。咎(とが)なし。

相互に従うということは何事も叶うものだが、それは正道を守ることを条件とする。そうすれば咎めはない。

 

キーポイント

雷(☳)が沢(☱)の中で動けば、沢の水はさざ波となって共に動いて悦びます。

随は雷の陽気が沢の陰気に従うため、自我を強めずに勢いを収めていれば無事です。性急短慮は悔いのもと。

随には動きがあることを示しています。

 

六十四卦における配列(序卦伝)

豫べば必ず随(したが)うことあり。故にこれを受くるに随(ずい)をもってす。

(雷地豫によって)民が悦べば、皆従うことになる。ゆえにこれを受けるに随をもって表す。

 

沢雷随の占考

関連ワード

悦んで従う、服従、執着。

 

運勢

運気が変わる時。

時流や事態に従うと吉。

自分のことにこだわるのは止めること。

 

願望

時間を掛ければ叶う。

新しい願いは叶わないので、むやみに手を出さないこと。

 

恋愛・関係

相手の甘い言葉や誘惑に言いなりになりやすい。

惑わされないためには堅実な精神を心掛けると良い。

 

結婚

初めは、相手の答えをもらえないが時間を掛けて求めれば成立する。

ただし、相手の異性交遊の状況に注意。トラブルのもととなる。

 

性格

行動的で愛嬌がある。

私利私欲に従って動く人。

異性関係が多く、問題を起こしやすい。

 

事業・方策

時勢に沿った方策で進めるべし。

斬新な企画は受け入れらず損をする。

 

住居

事情があって移転することは良い。

特別な事情がなければあまり動かない方が良い。

 

相場

しばらくは低迷気味。

ただし、内にエネルギーがあって上昇する兆しあり。

 

旅行

旅先での誘惑に注意。

楽しい旅行だからと言ってはしゃぎすぎてはいけない。

 

病気

精力減退、性病、消化不良、嘔吐など。

症状は軽いため治療を怠りがち。早めに処置するのが良い。

 

沢雷随の爻辞

※爻は下から数え、九は陽・六は陰を表す
 (例えば「初九」は一番下の陽の爻のこと)

初九

官渝(かわ)ることあり。貞(てい)なれば吉。門を出でて交わるに功あり。

(これまで担当してきた役目を変えることがある。正道を守って変えるのなら吉。また、自分の門から出て他人と交際すれば良い効果がある。)

→ 転換期を迎える。職業や主義を変えることがある時。広く交際することで、そうした転換・変革に備えるべし。

 

六二

小子(しょうし)係りて、丈夫(じょうふ)を失う。

(若い男に引っかかって、立派な夫を失ってしまう。)

→ 身近な人に惹かれて、大切な人や目上の人を失う。小さなことに関わって、大事なものを失うことがある時。

 

六三

丈夫(じょうふ)に係りて、小子(しょうし)を失う。随って求むるあれば得。貞(てい)に居(お)るに利あり。

(未婚の婦人が立派な男に惹かれて、若い男友達を失う。欲しいものがあれば何でも与えられる。正道に居るように心掛ければ利益がある。)

→ 小さなことを遠ざけて、大きなものに従うことで吉を得る時。願望は叶うが、私生活のうるおいは失うかもしれない。

 

九四

随って獲(う)るあり。貞(てい)なれども凶。孚(まこと)あって道に在り、以て明らかなれば、何の咎(とが)あらん。

(九四という力量ある臣下が君主の九五に従っているため、望むものはすべて得られるだろう。しかし臣下に力量があるゆえに疑われる。その場合は正道を守っていても凶である。ただ、心に誠があって道を外れず道理を守り続ければ、咎めはないだろう。)

→ 力量はあるが、調子に乗って奢ってしまうと大きな失敗を招く。目上からも部下からも慕われるように、謙虚な姿勢を心掛けること。

 

九五

嘉(か)に孚(まこと)あり。吉なり。

(六二と応じていることから、善き者と交わることは約束に忠実であること。吉である。)

→ 目上や部下から信頼を集めて順調に発展する時。誠実さを最優先させて、周りから信用を獲得すべし。

 

上六

これを拘(とら)え係(くく)る。乃(すなわ)ち従ってこれを維(つな)ぐ。王用(もっ)て西山(せいざん)に亨(きょう)す。

(捕らえられて縛られる。その上、重ねて太い綱で柱に繋がれる。然るべき人に従うときは、それほど固く結ばれるべきである。王は誠をもって西山に祭る。)

→ 拘束されて身動きが取れない時だが、信頼できる相手に従っているのであれば問題はない。自己主張はできず、不自由や不満を感じる。神仏や祖先を祭ると良い。

 

(参考:鹿島秀峰「現代易占詳解」、本田濟「易」ほか)

  • この記事を書いた人

しんのすけ

1986年、愛知生まれ。アメリカの大学卒業。金融危機下でなんとか就職するも、会社の歯車として働くことに疑問を感じていた。その後「やりたいことをやる」という信念のもと、現在に至るまで7社5職種+独立・起業のキャリアを経験。プライベートでは易学の研究や中国語の勉強も。台湾が大好き。

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