六十四卦

14. 火天大有(かてんたいゆう) -易経・六十四卦-

2020年9月21日

キーポイント

離(☲)の火が、乾(☰)の天より上にある卦です。

すなわち天高く燃える太陽が万物を照らしている様子を表します。

ただし、火も天もともに手に掴むことはできないもの。

大有は空想的な理想論を示すこともあり、実在に適さない大きな事も多いため注意が必要です。

立派な卦なので、離(☲)の文明と乾(☰)の剛健さをあわせもつ徳を用いて、しっかりと内容を固めることが重要となります。

 

火天大有(かてんたいゆう)について

卦辞(火天大有の概要)

大有は、元(おお)いに亨(とお)る。

しかるべき徳があれば、大有では望みが大いに叶う。

 

六十四卦における配列(序卦伝)

人と同じくする者は物必ずこれに帰す。故にこれを受くるに大有(たいゆう)をもってす。

(天火同人によって)和同する者は人望厚きによりて多くの物が必ず帰服し大いに保有する。ゆえにこれを受けるに大有をもって表現する。

 

火天大有の占考

関連ワード

大きなものを保有する、大いに保有する、大望、名声。

 

運勢

運気上昇につき恵まれている時。

力量ある人には吉だが、常人には荷が重いことも。

背伸びをせずにしっかりと中身を充実させること。

 

願望

達成の時期は早い。

内容が大きすぎるところがある。

多くを望みすぎずに、時流に従うべし。

 

恋愛・関係

異性との交際に恵まれるが、多角関係になりがち。トラブルが起きやすい。

節度を守って付き合うか、徹底して秘密裏に交際すること。

相手は自分が欲しいと思うものを持ち合わせている人物。

 

結婚

互いに知恵あれば大いに恵まれるが、そうでなければ荷が重い。

女性は家庭外に生きがいを感じる傾向にあるため、それが原因となって家庭内不和を招く恐れあり。

女性は目下、男性は目上の相手を選ぶと良い。女性優位の家庭。

 

性格

内には剛健、外には才知あり、大まかで豪快な性格。

大望を空想する傾向がある。

名声・名誉・社会的地位を持つ人物が多い。

 

事業・方策

幸運に恵まれており順風満帆。現在の流れを維持する努力が必要。

力の及ばないことからは早めに手を引き、分相応の分野に改める方が良い。

これ以上の拡大・拡張は控えると無事。

 

住居

陽当たりがよく、安らぎを感じられる家。

新築の場合は予算超過に注意。移転は控えるべし。

 

相場

取引活発で、騰勢の時。

ただし、大きな変動がある恐れがあるため、機を見て売り逃げる方が良い。

 

旅行

豪勢になりがち。

緊縮・節約の姿勢を忘れないこと。

 

病気

大熱を伴う病気、ノイローゼ、体力消耗、肺病、腹部の膨張など。

他の病気と併発する恐れあり。薬が効きづらく持病化することも。病勢は激しくなるため気を付けること。

 

火天大有の爻辞

※爻は下から数え、九は陽・六は陰を表す
 (例えば「初九」は一番下の陽の爻のこと)

初九

害に交(わた)ることなし。咎(とが)あるにあらず。艱(なや)むときは咎なし。

(大有とはいえまだ始まりの時であり、驕慢の害に見舞われることはない。咎めがあるはずがない。しかし欲に悩むときにしっかり対処すべきである。そうなればまた咎めはない。)

→ 素質はあるが未熟のため才能を発揮することはできない。ただし、努力をすれば成功の兆しが見える時。今は多くを望まずに内部の充実、研鑽に努めること。分不相応のことは控えると無事。

 

九二

大車(だいしゃ)以て載(の)す。往くところあり、咎(とが)なし。

(大きな車に荷を載せるように、大任を委ねられる。車が頑丈であるためどこへ行ってもつぶれる心配はなく、咎めはない。)

→ 自身の力量は充実しており、周囲からの信頼にも応えられる。才能を十分に発揮できる時。苦労や責任を伴うが名声をあげることができる。自信があるうちに事を進めると良い。ただし、過信には注意すること。

 

九三

公用(もっ)て天子に亨(きょう)す。小人は克(あた)わず。

(公侯が王に貢物を献上するように、自己の能力を尽くして賢者に仕える。常人は徳が十分でないため値しない。)

→ 目上の人物に贈り物をして引き立てを受ける時。周囲の人間から嫉妬や批判を受けやすいため、立ち振る舞いには十分気を付けること。実力で発展するというよりは、誠意のある交際によって成功する。

 

九四

その彭(さかん)なるにあらず。咎(とが)なし。

(抑制により盛んとなるのを極めようとしない。咎めはない。)

→ 謙虚な姿勢で周囲から信頼されるよう努めること。勢いのままに過信することは慎むべし。周囲の反感を買う恐れがある。

 

六五

その孚(まこと)あって交如(こうじょ)たり威如(いじょ)たるときは、吉なり。

(誠心のある君主が、謙虚でかつ威厳のある態度をもって臣下と接するときは、吉である。)

→ 運気盛大。地位も名声もある時だが、好調さを奢らず、周囲と誠意をもって交際することが重要。部下の有力者を登用すると良い。

 

上九

天よりこれを祐(たす)く。吉にして利あらざるなし。

(六五に従うことで天の助けがある。吉である。)

→ 有能な部下の協力を受け、周囲から信頼されて安泰。努力が相応の成果を上げて万事順調。利己的なこと、行き過ぎなことには手を出さないように注意。

 

(参考:鹿島秀峰「現代易占詳解」、本田濟「易」ほか)

  • この記事を書いた人

しんのすけ

1986年、愛知生まれ。アメリカの大学卒業。金融危機下でなんとか就職するも、会社の歯車として働くことに疑問を感じていた。その後「やりたいことをやる」という信念のもと、現在に至るまで7社5職種+独立・起業のキャリアを経験。プライベートでは易学の研究や中国語の勉強も。台湾が大好き。

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