キーポイント
兌(☱)の少女が、震(☳)の長男に嫁ぐという意味の卦です。
少女が長男に嫁ぐことはふさわしくない。少女は少男と結婚すべきであるため、凶となります。
恐ろしい卦というわけではありませんが、ちょっとした災いや手違いに気を付けましょう。
雷沢帰妹(らいたくきまい)について
卦辞(雷沢帰妹の概要)
帰妹(きまい)は、征(ゆ)けば凶。利するところなし。
帰妹では、進めば凶。何の利益もない。
六十四卦における配列(序卦伝)
漸とは進むなり。進めば必ず帰する所あり。故にこれを受くるに帰妹(きまい)をもってす。
(風山漸による)漸は進むという意味である。進めば必ず帰るべきところに帰る。ゆえにこれを受けるに帰妹をもって表す。
雷沢帰妹の占考
関連ワード
嫁ぐ、男には凶、女には吉、手違い、思惑違い、契約違反
運勢
軽率に行動することで、手違いや間違いが生じる時。
色情や欲望が仇となって凶運を招く。
目の前の喜びに囚われずに、末路を考えること。
願望
願望は叶い難い。
思い通りにならず、無理に進めようとすることで失敗する。
恋愛・関係
色情などによって一時的に結ばれるが、不釣り合いな関係。
お互いに誠実さをもって付き合わなければ、争いごとやトラブルが多く生じる。
結婚
急げば凶。まとまらない方が良い場合が多い。
正式な結婚ではなく、同棲や内縁関係となりがち。
成立させたい場合は、お互い十分に話し尽くすこと。
性格
内面は柔和で平凡な人。
ただし、性急短慮なところがある。欲望に忠実な人。
女性は愛嬌がある。
事業・方策
遅くなろうとも時間を掛ける方が良い。
焦らずに、相手に対して自分の誠意を示すこと。
住居
二軒目以降の別宅であれば問題ない。
また、しっかりと考えた上で行う増改築は良い。
移転は見送るべし。
相場
波乱が多く、思い通りに動かない。
少々の損害は覚悟するくらい慎重になるのが良い。
旅行
延期するのが良い。
旅先で事故や女性関係のトラブルが起きやすい。
病気
精神病、外傷、性病など。色情や男女トラブルが原因のものが多い。
思い通りに治すことはできず、長期化する。
雷沢帰妹の爻辞
※爻は下から数え、九は陽・六は陰を表す
(例えば「初九」は一番下の陽の爻のこと)
初九
帰妹(きまい)娣(てい)を以てす。跛(あしなえ)にして履(ふ)む。征(ゆ)くときは吉なり。
(姉の嫁ぎ先に、自分も付き添いとして嫁ぐ。足が不自由なのに踏もうとするようなもので、遠くまでは行けない。ただし、前進する分には吉である。)
→ 自分の才能や力量は発揮できない。他人を助け、脇役に徹することで吉を得る。
九二
眇(すがめ)にして視(み)る。幽人(ゆうじん)の貞(てい)に利あり。
(片目なのに見ようとしても、物事がよく見えないのは当然である。隠者として自分の正義を守り通すのが良い。)
→ 努力が報われず忍耐の時。ただし周りに理解されなくても、自分の姿勢や態度を貫くべきである。
六三
帰妹(きまい)以て須(ま)つ。反(かえ)り帰りて娣(てい)を以てす。
(嫁ごうとしても長く待たなければならない。実家に戻って、誰かの付き添いとして嫁ぐのであれば可能だろう。)
→ 理想を追い求めても何も得られず、逆に自分の価値を落としてしまう。
九四
帰妹(きまい)期を愆(すご)す。遅く帰(とつ)ぐに時あらん。
(嫁ごうとしていたが適齢期を過ぎてしまった。しかし、嫁ぐのが遅くなってもいいなら必ず嫁げるだろう。)
→ 努力が実を結ぶまで、我慢強く機を待っている時。今まで成功を収められなかったのは、好機が訪れなかっただけ。いずれ好機は来るので、努力を継続すること。
六五
帝乙(ていいつ)妹を帰(とつ)がしむ。其(そ)の君の袂(そで)は、其(そ)の娣(てい)の袂(そで)の良きに如(し)かず。月、望(もち)に幾(ちか)し。吉なり。
(天子が末娘を下の有力者に嫁がせる。この娘の着物の袖は、付き添いで嫁ぐような女性の着物ほど美しくない。着物は地味だが、満月に近い月が明るく光るように、この娘が輝く時は近い。吉である。)
→ 自分の内面を充実させること。謙虚な姿勢を保つことができれば人徳を得る。目の前にある利益を求めるのではなく、理想を実現させる大きな計画を立てるべし。
上六
女(じょ)筐(かたみ)を承(ささ)ぐるに実(み)なし。士(し)羊を刲(さ)くに血なし。利するところなし。
(女性が嫁ぐ時に持参する手箱には中身がない。夫となる男性が婚礼の儀式のために羊を割くと、不吉にも血が出ない。何の利益もない。)
→ 表面は飾られていても、内面が乏しい。誠意不足によって、トラブルや災いを招くこととなる。
(参考:鹿島秀峰「現代易占詳解」、本田濟「易」ほか)