六十四卦

44. 天風姤(てんぷうこう) -易経・六十四卦-

2021年1月1日

キーポイント

天風姤(䷫)の卦は、陽爻ばかりの中に一つの陰爻が下から生じ、陽と陰が期せずして遇う形です。

男だらけの環境に一人の女が突然現れて男をもてあそぶ、という意味があります。

思いがけず遇うこと、あるいは運気衰退の始まりを表す卦です。

 

天風姤(てんぷうこう)について

卦辞(天風姤の概要)

姤(こう)は、女(じょ)壮(さか)んなり。用(もっ)て女(じょ)を取(めと)るなかれ

姤(こう)は、一人の不貞の女が多数の男に遇う卦。したがって一人の女として盛んであることを意味する。そのため、このような女を娶ってはならない。

 

六十四卦における配列(序卦伝)

夬(かい)とは決なり。決すれば必ず遇う所あり。故にこれを受くるに姤(こう)をもってす。

(沢天夬の)夬とは決を表し、切れて離れるという意味である。切れて離れたものは必ず遇う。ゆえにこれを受けるに姤をもって表す。

 

天風姤の占考

関連ワード

思いがけず遇う、偶然、奇遇、意外の事態、突然の災い、衰運の始まり、女性はいい出会いがある、女性は寵愛を得る

 

運勢

運気衰退の兆し。思いがけない事態から次第に運が悪くなる。

特に女性問題には注意が必要。

 

願望

急に事態が悪化するため、願望が叶うことはない。

女性問題は挫折のもととなる。

 

恋愛・関係

奇遇から生じた関係。

女性は、目上の男性から寵愛を受ける。男性にとっては、将来大きな損失を被るような恋愛となる。

 

結婚

まとまらないことが吉。断った方が無事となる。

内縁関係のようなもの。

女性側の積極的な姿勢によって結ばれることはあるが、婚後は女性の不貞行為が生じやすい。

 

性格

女性は、目上からの寵愛を受けやすい情熱的な人。

男性は、女性にもてあそばれて騙されやすい人。

 

事業・方策

予期せず発生した小さな問題から、迷いが生じて事態が悪化する。

女性問題に溺れると本業に支障を来たす。

 

住居

改築、修理を考えるきっかけが起こる。

あるいは移転に関しても、気にし始める時。

運気に任せて検討を進めるのが良い。

 

相場

予期しない材料が生じて下降傾向となる。

 

旅行

旅先で女難や盗難などの意外な障害に遇う恐れ。

可能であれば取り止めるのが良い。

 

病気

下半身の冷えや痛み、脚・膝の麻痺、脱肛、痔など。

初めは軽症に見えるが、次第に悪化する。

 

天風姤の爻辞

※爻は下から数え、九は陽・六は陰を表す
 (例えば「初九」は一番下の陽の爻のこと)

初六

金柅(きんじ)に繋(つな)ぐ。貞(ただ)しくして吉。往(ゆ)くところあれば、凶を見る。羸豕(るいし)孚(まこと)に蹢蠋(てきちょく)たり。

(期せずして生じた陰爻である初六を、金で作った強い車止めに繋いでおく。こうして陰を止めることができれば正しいので吉。しかし前進させてしまうと凶に遇う。たった一つの陰はやせ細った豚のように小さな存在だが、この豚が大きく跳ね回るため、隙を見せると進んでくる。)

→ 自分の行動を抑止して、好機と思っても軽率に手出ししないこと。あるいは、凶運の到来に備えて守りを固めること。

 

九二

包(つつ)むに魚(うお)あり、咎(とが)なし。賓(ひん)に利あらず。

(陰を表す魚を包みに入れておけば、咎めはない。その魚を他の賓客に振舞ってしまうのは良くない。)

→ 表には出せないような問題がある。自分の中だけに包み隠しておく必要があり、他人に迷惑をかけないよう注意しながら、自分だけで対処しなければならない。

 

九三

臀(いさらい)に膚(はだえ)なし。その行くこと次且(ししょ)たり。厲(あやう)けれど大なる咎(とが)なし。

(まるで尻の皮膚が剥けて座ることができなくなったように、先頭に立って進みたくなる。しかし、実際に進もうとしても他人とぎくしゃくして進まない。ただ、進んでしまえば悪によって傷つくこともあるため、進まないことによって大きな咎めを受けることはない。)

→ やりたいことが思うように進展せず落ち着かない時だが、無理に強行してはいけない。身動きが取れず不安に感じるが、問題に発展することはないため、現状を維持するのが良い。

 

九四

包(つつ)むに魚(うお)なし。起(た)てば凶。

(包みの中には魚がない。民衆との距離が離れてしまい、民心を包むことができなかった君子のようである。この状況で何か行動を起こそうとするなら凶を招く。)

→ 誤った方針や行動により、損失を招いてしまう。特に他人からの不信を買ってしまうことがある。ただ、対策を取ろうとしても事態は悪化する一方なので、今は耐えながら現状を維持するしかない。

 

九五

杞(き)を以て瓜(か)を包む。章(しょう)を含む。天より隕(お)つることあり。

(カワヤナギで作った籠で瓜を包むように、君子は民衆をすっぽりと包み込む。ただし普段は、君子は威厳や徳を包み隠しながら民衆に接するのが良い。そうする方が、天の軌道が外れるような予期せぬ事態が訪れた時でも、秘めていた君子の威厳や徳をもって、奇跡を起こすことができる。)

→ 才能や力量を周囲に誇示せずに、謙虚で寛容な態度で他人と接すること。予想外の挫折を経験するが、隠していた才能や力量を発揮することで、その困難に打ち勝つことができる。

 

上九

その角(つの)に姤(あ)う。吝(りん)なれど、咎(とが)なし。

(剛強で頑固である角は、自ら孤立している。そんな角のような人物に遇っても、交流は生まれない。他人と交流できないことは恥ずべきことではあるが、悪に染まる恐れもないため咎めはない。)

→ 仮に周囲と協調しようとしても、人間関係に円滑さを欠くため何も進展しない。ただ、現状維持が望まれるような状況のため、人間関係が上手く行かないことに恥を感じるかもしれないが、特に支障はない。

 

(参考:鹿島秀峰「現代易占詳解」、本田濟「易」ほか)

  • この記事を書いた人

しんのすけ

1986年、愛知生まれ。アメリカの大学卒業。金融危機下でなんとか就職するも、会社の歯車として働くことに疑問を感じていた。その後「やりたいことをやる」という信念のもと、現在に至るまで7社5職種+独立・起業のキャリアを経験。プライベートでは易学の研究や中国語の勉強も。台湾が大好き。

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