六十四卦

49. 沢火革(たくかかく) -易経・六十四卦-

2021年1月13日

キーポイント

革の字は動物の皮を表します。

腐る部分を取り除いて、皮革として新しい役割を付与することから、沢火革には変革や改革といった意味があります。

新しい変化が必要な時です。

 

沢火革(たくかかく)について

卦辞(沢火革の概要)

革(かく)は、己日(きじつ)にして乃(すなわ)ち孚(まこと)あり。元(おお)いに亨(とお)る貞(ただ)しきに利あり。悔亡(ほろ)ぶ。

革(かく)において、変革というのは変わるべき日が訪れてから初めて、人々から信用を得られるものである。変革は極めて順調に行われる。ただし、その変革の動機が正しく、人々に利をもたらす場合にのみである。そうすれば後悔も未然に消滅するだろう。

 

六十四卦における配列(序卦伝)

井道は革(あらた)めざるべからず。故にこれを受くるに革(かく)をもってす。

(水風井による)井戸はいつも新しい状態にしておかなければならない。そうしなければ水が濁ってしまうからである。ゆえにこれを受けるに革をもって表す。

 

沢火革の占考

関連ワード

変革、改革、革命、一新、古いものを捨てる

 

運勢

今までの姿勢や態度を改正して、方向転換が必要な時。

古い習慣を捨てて、新しいことに挑戦するのが良い。

人間関係、金銭、書類など、変わることで問題が起こるようなことには慎重に変更を行うべし。

 

願望

新しい願望に改めると叶う。

古い願望を持ち続けているなら、たとえ努力をしても叶わない。

 

恋愛・関係

離別、食い違い、争いごとが起きやすい時。

今までの態度を改めて、自分の振る舞いを慎むと良い。

 

結婚

今ある縁談は上手く行かない。

新しい縁談を得られれば吉。

再婚するのも良い。

 

性格

革新的な人。

斬新なアイデアを生み出すことができる。

移り気な性格のため、熱しやすく冷めやすい人。

 

事業・方策

古いものを改めるべき時。

方針や設備など、新しいものに変えるための好機。

新規事業に着手するのも吉。

 

住居

改築すると吉。

また、移転するのも良い。

 

相場

安値圏内にあれば、一変して高騰していく。

逆に、それまで高騰していた場合は、急に下落するため警戒すること。

これまでの方針を一新すると良い。

 

旅行

これまでに行ったことのない新しい旅先を選ぶのが良い。

ただし、日時や行先の変更が起きやすい。

 

病気

口腔内の疾患、胸部の疾患、貧血など。

病状が変わる時。多くの場合は悪化する傾向にある。

 

沢火革の爻辞

※爻は下から数え、九は陽・六は陰を表す
 (例えば「初九」は一番下の陽の爻のこと)

初九

鞏(かた)むるに黄牛(こうぎゅう)の革(つくりかわ)を用(もっ)す。

(黄色い牛の革で身を固める。)

→ 黄色は中庸、牛は従順さを表す。自ら進んで何かをしようとせずに、中庸と従順の徳をもって身を固めるのが良い。変革の前には無理に動かず、慎重に準備をすべし。

 

六二

己日(きじつ)にして乃(すなわ)ちこれを革(あらた)む。征(ゆ)いて吉、咎(とが)なし。

(変わるべき日が訪れてから初めて、変革するのが良い。そうすれば前進して吉を招き、咎めもない。)

→ 変革すべき時が近づいているが、急いではいけない。十分に機が熟すのを待ってから変革すべし。

 

九三

征(ゆ)けば凶。貞(ただ)しけれども厲(あやう)し。革(かく)の言(こと)三たび就(な)りて、孚(まこと)あり。

(前進すれば凶。正しいことを行っていても危うい。しかし、変革すべき時は来ているので、多人数で相談して意見が三度一致すれば、人に信用されて変革は成功するだろう。)

→ 変革すべき時ではあるが、軽率に動いては必ず失敗する。行動する前に、他人と慎重に何度も話し合って、しっかり合意が得られてから初めて変革を実施すべし。

 

九四

悔亡(ほろ)ぶ。孚(まこと)ありて命(めい)を改むれば、吉。

(革命者にふさわしい人物であれば、変革を行っても後悔することはない。ただし、先に人々から信用を得ることが重要である。その後に革命することで吉を得る。)

→ 変革を実施すべき時。ただし周囲の支持を得ること。私利私欲によって行われる変革は必ず悔いが残る。

 

九五

大人(たいじん)虎のごとく変(へん)ず。いまだ占わずして孚(まこと)あり。

(時が経つと虎の毛皮が美しく変化するように、大人物は自己を改革して、天下を革命させる。ただし占う前から人々に信用されている人物であることが条件である。)

→ 日ごろから周囲の支持を得ているような人物であれば、変革や改革を実施すると大いに成果を上げる。

 

上六

君子は豹のごとく変(へん)ず。小人は面(めん)を革(あらた)む。征(ゆ)けば凶、居(お)れば貞(ただ)しくして吉。

(虎の毛皮には劣るが、時が経つと豹の毛皮も美しく変化するように、革命が完成したあとに君子は新しい文化を作る。庶民はその変化を受け入れるだけなので、ただ顔つきを改めて、大人しく君子に従っているのが良い。積極的に行動すれば凶。じっとしていることが正しい振る舞いであり、それが吉である。)

→ 人の上に立つような人物は、変革や革命の後に整備をしながら仕組みを構築する時。常人であれば現状を維持するつもりで振る舞うと吉を招く。

 

(参考:鹿島秀峰「現代易占詳解」、本田濟「易」ほか)

  • この記事を書いた人

しんのすけ

1986年、愛知生まれ。アメリカの大学卒業。金融危機下でなんとか就職するも、会社の歯車として働くことに疑問を感じていた。その後「やりたいことをやる」という信念のもと、現在に至るまで7社5職種+独立・起業のキャリアを経験。プライベートでは易学の研究や中国語の勉強も。台湾が大好き。

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