六十四卦

5. 水天需(すいてんじゅ) -易経・六十四卦-

2020年9月10日

キーポイント

水(☵)が天(☰)の上にあっても雨とならず、雨が降るのを皆待っている状態です。

雨は必ず降って来るが、しばらくの間は待つ必要があるという意味。

時が来るまで用意を整えて待つことが大切です。

 

水天需(すいてんじゅ)について

卦辞(水天需の概要)

需は孚(まこと)あれば、光(おお)いに亨る。貞なれば吉なり。大川(たいせん)を渉(わた)るに利あり。

ゆっくりと待って、心中に信念があれば、望みは大いに通るだろう。さらに正道を固守すれば吉であり、大川を渡ることもできる。

 

六十四卦における配列(序卦伝)

物おさなきは養わざるべからず。故にこれを受けるに需(じゅ)をもってす。需とは飲食の道なり。

(山水蒙のように)物おさなければ養わなければならないのである。ゆえにこれを受けるに需をもってする。需とは飲食の道である。

 

水天需の占考

関連ワード

湖水の中の龍、機会を待つ、前途の困難、自重、辛抱、時期尚早

 

運勢

実力を蓄え、英気を養ってチャンスを待つべき時。焦らずに余裕のある姿勢が必要。

飲食の機会に運気が変わる。住居、旅行では災難に注意。

 

願望

機が熟すのを待ってから進むと吉。積極性は抑えて受身で勝負すべし。しばらく待てば叶う。

待望は先に延ばす方が良い。

 

恋愛・関係

なかなか仲が深まることはない上に、焦って無理押しするとトラブルのもと。

先方に悪策がある場合もある。注意しながら時を待つべし。

飲食を機に親和したり問題が生じたりすることあり。

 

結婚

周囲の理解や協力が得られないため進展せず。心を落ち着けてチャンスを待てば自然に整う。

すぐに結婚をすると当分は安定しない。先行きには希望が持てる。

 

性格

内に勇気を秘めた大望あり。辛抱強くチャンスを待つ人。しっかり型。将来の成長株。

 

事業・方策

進むと不利。静観しながら力を蓄え、時を待つのが得策。

 

住居

新築・増改築・移転、すべて見合わせるべし。時期はまだ先。

 

相場

上昇の兆しはあるが、まだその時ではない。待てば高騰する勢いが見られる。

 

旅行

強行すると思わぬトラブルあり。延期するのが良い。旅先では悪天候に見舞われるか、食中毒の恐れ。

 

病気

頭痛、消化不良、中耳炎、肺の疾患、胃腸の疾患、怪我など。

軽症と思って油断していると重症となり、性急に治療すると体にダメージが残る。対応が難しく、慎重な判断が必要。

 

水天需の爻辞

※爻は下から数え、九は陽・六は陰を表す
 (例えば「初九」は一番下の陽の爻のこと)

初九

郊(こう)に需(ま)つ。恒(つね)を用うるに利あり。咎なし。

(遠くで待つ。常にいる場所を守るならば、失敗はない。)

→ 前進や冒険は一切あきらめて、チャンスが来るのを静かに待っているとき。日常の仕事を守って他の事に心を移さないこと。

 

九二

沙(すな)に需(ま)つ。小(すこ)しく言(ものい)うことあり。終(ついに)に吉なり。

(水辺の砂地で待つ。多少の批判を受けることがある。終わりには吉。)

→ 才能も実力もあるが、時期尚早である。待ちに専念すること。他人との口論を慎み、親和を図る姿勢が大切。

 

九三

泥(ひじりこ)に需(ま)つ。寇(あだ)の至るを致す。

(水に接した泥地で待つ。外敵が攻めてくる事態(寇)を招くだろう。)

→ 進めば必ず厳しい妨害にあう。はやる気持ちを抑えて謙虚な姿勢を保つこと。自らの言動によって盗難、病難、水難が起こる可能性あり。

 

六四

血に需(ま)つ。穴より出(い)ず。

(血だまりに足を踏み込んで待つ。最後には穴から抜け出せる。)

→ 血を見るほどの危険な運気の時。待つだけでなく、無事を願って現状を堅守することが大切。

 

九五

酒食(しゅし)に需(ま)つ。貞(てい)なれば吉。

(酒と食べ物を手に安らかに待つ。正道を守れば吉である。)

→ これまで待ったかいがあり、ようやく願いが叶う時。安心したからといって心を乱さず、謙虚な態度で本分を忘れないように。

 

上六

穴に入る。速(まね)かざるの客三人あって来(きた)る。これを敬(つつし)むときは終(つい)に吉なり。

(穴に落ち込むのみである。不意に乾の三陽爻がやってくるが、敬意をつくして応対すれば最後には吉となる。)

→ 窮地に陥ってしまうが、礼儀を失わなければ思わぬ助力を得る。周囲の智慧や才能を尊重することが大切。

 

(参考:鹿島秀峰「現代易占詳解」、本田濟「易」ほか)

  • この記事を書いた人

しんのすけ

1986年、愛知生まれ。アメリカの大学卒業。金融危機下でなんとか就職するも、会社の歯車として働くことに疑問を感じていた。その後「やりたいことをやる」という信念のもと、現在に至るまで7社5職種+独立・起業のキャリアを経験。プライベートでは易学の研究や中国語の勉強も。台湾が大好き。

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