六十四卦

38. 火沢睽(かたくけい) -易経・六十四卦-

2020年11月23日

キーポイント

火(☲)は上に昇っていき、沢(☱)の流れは下に行こうとします。

つまり火沢睽では、向かっていく先が異なることを意味します。

また、一家に中女(☲)と小女(☱)がいても、いずれは異なる嫁ぎ先に出向いていくでしょう。

万物は同じではなく異なっていることで上手くいくので、違った性質でも合わせることができれば良いものであるということです。

 

火沢睽(かたくけい)について

卦辞(火沢睽の概要)

睽は小事には吉なり。

睽では、大きなことは不可であるが、小さなことには吉である。

 

六十四卦における配列(序卦伝)

家道窮まれば必ず乖(そむ)く。故にこれを受くるに睽(けい)をもってす。

(風火家人による)家人の道が行き詰まると人は必ず背く。目を背け合ったり、乖離が起こったりする。つまり人それぞれ異なる行動をするようになる。ゆえにこれを受けるに睽をもって表す。

 

火沢睽の占考

関連ワード

そむき合う、にらみ合う、親和しない、かみ合わない、背反、不信

 

運勢

思い通りに物事が進展せずに、手違いや行き違いが発生する。

特に対人関係での思い違いによるトラブルに注意すべき時。

 

願望

小さな願望は達成できる。

大望は、計画や予定に食い違いがあり挫折するため叶わず。

 

恋愛・関係

お互いの意見が背き合って、円滑に進まぬ時。

喧嘩や不和が起こるが、そののちに誤解がとけて親密さを取り戻す。

 

結婚

見合わすべし。

誤解や錯覚などの手違いが多く発生するため、性急に結論を出そうとしないこと。

 

性格

ひねくれもの。

人と調和するのが苦手。

 

事業・方策

本業や小事のこと以外には心を動かさないこと。

他のことに手を出そうとすると、計画や予定に手違いが発生して失敗する。

 

住居

改築、移転は良い。

ただし、日時や方位をしっかりと検討すること。

 

相場

現実は見通しの逆を行く。

 

旅行

とにかく手違いが多く発生する。

延期をするのが良い。

 

病気

発熱、嘔吐、頭痛、咳など。

誤診や薬が合わない場合あり。

 

火沢睽の爻辞

※爻は下から数え、九は陽・六は陰を表す
 (例えば「初九」は一番下の陽の爻のこと)

初九

悔(くい)亡(ほろ)ぶ。馬を喪(うしな)う逐(お)う勿(な)くして自(おのずか)ら復(かえ)る。悪人を見れば咎(とが)なし。

(予想していた悔いも消える。馬を失ってしまい進めないと思っていたが、追うことなく馬が自分から帰ってきた。こうした手違いが良いことに作用することもあるので、咎を避けるためには悪人に会わねばいけないだろう。)

→ 期待していたことには裏切られ、期待していなかったことが好転する時。不調であればあるほど、将来的には自然と開運に向かう。

 

九二

主(しゅ)に巷(ちまた)に遇(あ)う。咎(とが)なし。

(町の隅から隅まで己の君主を捜しまわって、ようやく思いがけないところでばったり出会う。咎めはない。)

→ 支障や障害が多い時だが、思いがけないことから好転する。目上の引き立てがあると開運しやすい。

 

六三

輿(くるま)を曳(ひ)かる。その牛掣(とど)めらる。その人天(てん)せられ且(か)つ劓(はなぎ)らる。初めなくして終りあり。

(会いに行きたい人がいるのに後ろからは自分の車を引き戻され、前からは車を引いていた牛を制止される。車に乗っている人は額に入れ墨を入れられ、鼻を切られる刑罰に処せられる。こうして初めは無実の罪に問われてしまうが、最後には会いたい人に会えるだろう。)

→ 誤解や手違いによって窮地に立たされる。相手も疑い深くなっている時なので仕方のないことである。初めはお互いに背き合ってしまうが、終わりには誤解が解けて和同する。

 

九四

睽(そむ)いて孤(ひとり)なり。元夫(げんぷ)に遇(あ)う。交々(こもごも)孚(まこと)あり。厲(あやう)けれど咎(とが)なし。

(人間関係に背きが生じて一人となるが、いつもは応じない元夫に会う。お互いの信念を信じあっていけば、背き合う時なので危険ではあるが、咎めはない。)

→ 人間関係に不和が生じて孤独のさみしさを感じる時だが、普段は相容れないような疎遠の人がその状況を打破する可能性がある。見通しの悪さに心をくじかれるのではなく、人間関係を重視しながら状況を打開するよう行動に移すことが重要。

 

六五

悔(くい)亡(ほろ)ぶ。その宗(そう)膚(はだえ)を噬(か)む。往(ゆ)くとして何の咎(とが)かあらん。

(予想していた悔いも消える。応援してくれる宗族が障害をかみ砕いて取り除いてくれる。どこへ行くにしても何の咎めもない。)

→ 目下の者と協力して行動すれば、頭を悩ませていたトラブルが解消されて進展する。

 

上九

睽(そむ)いて孤(ひとり)なり。豕(いのこ)の塗(ひじりこ)を負えるを見る。鬼(き)を載(の)すること一車(いっしゃ)。先にはこれが弧(ゆみ)を張り、後にはこれが弧(ゆみ)を説(はず)す。寇(あだ)するにあらず婚媾(こんこう)せんとす。往いて雨に遇えば吉なり。

(人間関係に背きが生じて一人となる。猜疑心に満ちてしまい、自分に会おうと来てくれる人に対しても、まるで豚が背中に泥をいっぱいつけているものを見るように、汚いものを見る目で見てしまう。猜疑心のために無いものが有るように見えてしまうため、車いっぱいに幽霊を載せているような景色が見えてしまう。ゆえに自分に会おうと来てくれる人に対して弓矢で討とうとするが、後にはその矢を弓から外す。その人が自分に敵対するのではなく、自分と親交を深めたいのだと悟ることができたからである。雨によってものが流されるように、これまでの疑いや妄想を流して人と和合することができれば吉である。)

→ 自分の先入観や他人の入れ知恵を妄信してしまい、人間関係に断絶が起きて災いを招いてしまう。自分の主張を一旦止めて、落ち着いて物事の真相を判別する姿勢を取るように強く心掛けること。そうすれば後になって誤解を解くことができ、吉運が訪れる。

 

(参考:鹿島秀峰「現代易占詳解」、本田濟「易」ほか)

  • この記事を書いた人

しんのすけ

1986年、愛知生まれ。アメリカの大学卒業。金融危機下でなんとか就職するも、会社の歯車として働くことに疑問を感じていた。その後「やりたいことをやる」という信念のもと、現在に至るまで7社5職種+独立・起業のキャリアを経験。プライベートでは易学の研究や中国語の勉強も。台湾が大好き。

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