六十四卦

46. 地風升(ちふうしょう) -易経・六十四卦-

2021年1月5日

キーポイント

坤(☷)である地の下で、木を意味する巽(☴)が徐々に成長していき、高く大きくなっていく卦が地風升です。

急に高みに到達できるわけではありませんが、小さなことを積み重ねることで、高いところへ昇り進んでいくことを意味します。

上昇気運となるため、積極的に物事を行うと良いでしょう。

 

地風升(ちふうしょう)について

卦辞(地風升の概要)

升(しょう)は、元(おお)いに亨(とお)る。用(もっ)て大人を見る。恤(うれ)うるなかれ。南征して吉

升(しょう)では、願いは大いに叶う。大人物に会うことができれば、何も心配することはない。前進して吉を得る。

 

六十四卦における配列(序卦伝)

萃(すい)とは聚なり。聚りて上るものはこれを升(のぼ)ると謂う。故にこれを受くるに升(しょう)をもってす。

(沢地萃の)萃とは集まることである。物が集まれば次第に高く積みあがっていく。ゆえにこれを受けるに升をもって表す。

 

地風升の占考

関連ワード

進み昇る、コツコツ積み上げる、次第に上昇する

 

運勢

上昇気運の時。我慢強く地道に努力することで、吉を招く。

力量ある目上の引き立てを得て、積極的に前進すると良い。

 

願望

小さなことをコツコツと積み上げていけば、大きな成功を収めることができる。

途中で心変わりをしたり、功を焦ったりしてしまうと、挫折や失敗を招く。

 

恋愛・関係

少し意見が食い違うことがあるため、気を付けながら堅実に交流すれば吉。

優柔不断な態度は取らず、意思表示は明確にするのが良い。

 

結婚

急にはまとめられないが、少しずつ障害を取り除きながら進めていけば調う。

婚後の生活は悪くないが、夫婦不和となることが多い。

 

性格

コツコツ積み上げていく努力の人。

普段は大人しいが、たまに激高する。

 

事業・方策

迷う心を捨てて、一つのことを少しずつ積み重ねていくのが良い。

すぐに成功することはないが、長期継続すれば必ず上昇傾向となる。

 

住居

新築や増改築を推し進めて良い時。

現在の住居に不満があれば移転も可。

 

相場

徐々に上昇傾向となる。

高望みせずに、継続的に保有することで利を得る。

 

旅行

しっかりと事前に準備を行うことで、良い旅行となる。

急に決まったような旅行であれば、旅先での障害に注意。

 

病気

胃腸の疾患、腹痛、嘔吐、下痢、腹部のしこり、腰痛など。

風邪などの日常的な病が原因となり、次第に悪化していく。

 

地風升の爻辞

※爻は下から数え、九は陽・六は陰を表す
 (例えば「初九」は一番下の陽の爻のこと)

初六

允(まこと)に升(のぼ)る。大吉なり。

(自分だけでは昇れないが、目上の人間に従っていれば本当に昇ることができる。大吉である。)

→ コツコツと努力を続けていれば、自力では上手く行かないことも目上の人間からの支援によって吉を得る。円滑な人間関係を心掛けると良い。

 

九二

孚(まこと)あって乃(すなわ)ち禴(やく)を用うるに利あり。咎(とが)なし。

(神仏への誠実さがあれば、たとえ供物がわずかでも、それを用いて祭祀を実施して良い。咎めはない。)

→ 神仏と向き合う時のような、誠実さと真心を持つこと。私利私欲を捨てて、謙虚な姿勢を忘れなければ、好機が訪れる。

 

九三

虚邑(きょゆう)に升(のぼ)る。

(無人の村を進むがごとく、何の支障もなく昇っていける。)

→ 運気盛大の時であり、何事も順調に進展する。ただし、油断せずに努力を怠らないこと。

 

六四

王用(もっ)て岐山(ぎざん)に亨(きょう)す。吉にして咎(とが)なし。

(王や諸侯が山祭りを行うことで吉を招く。咎めはない。)

→ 誠心誠意をもって神仏を祭れば、流れに身を任せることで吉を得る。ただし、分不相応の望みを抱けば運気衰退を招く。

 

六五

貞吉(ていきつ)階(きざはし)に升(のぼ)るは、大いに志しを得るなり。

(正道を守ることができれば、吉を得ることができ、王座への階段を昇ることができる。昇進も容易い。)

→ 社会的に正しい態度を保ち、なおかつ努力を積み重ねてきたことにより、地位や名誉を得られる時。長年の念願が叶う。

 

上六

升(のぼ)るに冥(くら)し。不息(ふそく)の貞(てい)に利あり。

(昇ることばかりに心が捉われて、目がくらんでいる。焦って上を目指しても得られるものはない。ただしその欲を捨て、正義を貫く姿勢に変えることができれば、ようやく利益が得られるだろう。)

→ 自分の地位や力量を省みず、盲進することで失敗を招く。私利私欲を捨てて社会的に正しい態度を保つことができたら、そのとき初めて利益が得られるだろう。

 

(参考:鹿島秀峰「現代易占詳解」、本田濟「易」ほか)

  • この記事を書いた人

しんのすけ

1986年、愛知生まれ。アメリカの大学卒業。金融危機下でなんとか就職するも、会社の歯車として働くことに疑問を感じていた。その後「やりたいことをやる」という信念のもと、現在に至るまで7社5職種+独立・起業のキャリアを経験。プライベートでは易学の研究や中国語の勉強も。台湾が大好き。

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