キーポイント
水(☵)が天(☰)の上にあっても雨とならず、雨が降るのを皆待っている状態です。
雨は必ず降って来るが、しばらくの間は待つ必要があるという意味。
時が来るまで用意を整えて待つことが大切です。
水天需(すいてんじゅ)について
卦辞(水天需の概要)
需は孚(まこと)あれば、光(おお)いに亨る。貞なれば吉なり。大川(たいせん)を渉(わた)るに利あり。
ゆっくりと待って、心中に信念があれば、望みは大いに通るだろう。さらに正道を固守すれば吉であり、大川を渡ることもできる。
六十四卦における配列(序卦伝)
物おさなきは養わざるべからず。故にこれを受けるに需(じゅ)をもってす。需とは飲食の道なり。
(山水蒙のように)物おさなければ養わなければならないのである。ゆえにこれを受けるに需をもってする。需とは飲食の道である。
水天需の占考
関連ワード
湖水の中の龍、機会を待つ、前途の困難、自重、辛抱、時期尚早
運勢
実力を蓄え、英気を養ってチャンスを待つべき時。焦らずに余裕のある姿勢が必要。
飲食の機会に運気が変わる。住居、旅行では災難に注意。
願望
機が熟すのを待ってから進むと吉。積極性は抑えて受身で勝負すべし。しばらく待てば叶う。
待望は先に延ばす方が良い。
恋愛・関係
なかなか仲が深まることはない上に、焦って無理押しするとトラブルのもと。
先方に悪策がある場合もある。注意しながら時を待つべし。
飲食を機に親和したり問題が生じたりすることあり。
結婚
周囲の理解や協力が得られないため進展せず。心を落ち着けてチャンスを待てば自然に整う。
すぐに結婚をすると当分は安定しない。先行きには希望が持てる。
性格
内に勇気を秘めた大望あり。辛抱強くチャンスを待つ人。しっかり型。将来の成長株。
事業・方策
進むと不利。静観しながら力を蓄え、時を待つのが得策。
住居
新築・増改築・移転、すべて見合わせるべし。時期はまだ先。
相場
上昇の兆しはあるが、まだその時ではない。待てば高騰する勢いが見られる。
旅行
強行すると思わぬトラブルあり。延期するのが良い。旅先では悪天候に見舞われるか、食中毒の恐れ。
病気
頭痛、消化不良、中耳炎、肺の疾患、胃腸の疾患、怪我など。
軽症と思って油断していると重症となり、性急に治療すると体にダメージが残る。対応が難しく、慎重な判断が必要。
水天需の爻辞
※爻は下から数え、九は陽・六は陰を表す
(例えば「初九」は一番下の陽の爻のこと)
初九
郊(こう)に需(ま)つ。恒(つね)を用うるに利あり。咎なし。
(遠くで待つ。常にいる場所を守るならば、失敗はない。)
→ 前進や冒険は一切あきらめて、チャンスが来るのを静かに待っているとき。日常の仕事を守って他の事に心を移さないこと。
九二
沙(すな)に需(ま)つ。小(すこ)しく言(ものい)うことあり。終(ついに)に吉なり。
(水辺の砂地で待つ。多少の批判を受けることがある。終わりには吉。)
→ 才能も実力もあるが、時期尚早である。待ちに専念すること。他人との口論を慎み、親和を図る姿勢が大切。
九三
泥(ひじりこ)に需(ま)つ。寇(あだ)の至るを致す。
(水に接した泥地で待つ。外敵が攻めてくる事態(寇)を招くだろう。)
→ 進めば必ず厳しい妨害にあう。はやる気持ちを抑えて謙虚な姿勢を保つこと。自らの言動によって盗難、病難、水難が起こる可能性あり。
六四
血に需(ま)つ。穴より出(い)ず。
(血だまりに足を踏み込んで待つ。最後には穴から抜け出せる。)
→ 血を見るほどの危険な運気の時。待つだけでなく、無事を願って現状を堅守することが大切。
九五
酒食(しゅし)に需(ま)つ。貞(てい)なれば吉。
(酒と食べ物を手に安らかに待つ。正道を守れば吉である。)
→ これまで待ったかいがあり、ようやく願いが叶う時。安心したからといって心を乱さず、謙虚な態度で本分を忘れないように。
上六
穴に入る。速(まね)かざるの客三人あって来(きた)る。これを敬(つつし)むときは終(つい)に吉なり。
(穴に落ち込むのみである。不意に乾の三陽爻がやってくるが、敬意をつくして応対すれば最後には吉となる。)
→ 窮地に陥ってしまうが、礼儀を失わなければ思わぬ助力を得る。周囲の智慧や才能を尊重することが大切。
(参考:鹿島秀峰「現代易占詳解」、本田濟「易」ほか)