六十四卦

35. 火地晋(かちしん) -易経・六十四卦-

2020年11月8日

キーポイント

太陽が地上に出て、だんだんと昇り進んでいく様子を表しています。

暗闇での苦労も去って、目先が明るくなり運気も順調に上昇していきます。

日が出たからといって急に真昼のように明るくなるわけではないので、調子に乗らず徐々に進むこと。

 

火地晋(かちしん)について

卦辞(火地晋の概要)

晋は、康侯(こうこう)用(もっ)て馬を(たも)うこと蕃庶(はんしょ)たり。昼日(ちゅうじつ)に三たび接(まじ)わる。

自分の仕事に忠実で功績を挙げるような人であれば、多くの馬を授けられ、さらに昼のうちに三回の謁見を受けるほど寵愛されるだろう。

 

六十四卦における配列(序卦伝)

物もって壮なるに終るべからず。故にこれを受くるに晋(しん)をもってす。

物事が盛んになってそのまま終わっていくべきではない。そこから進む必要がある。ゆえにこれを受けるに晋をもって表す。

 

火地晋の占考

関連ワード

日の出、進む、明るい、人気、出世、名誉、名声

 

運勢

苦労が去って、ようやく運気が上昇していく時。

これまでの努力が認められて、目上の人間からの恩恵を受ける。

 

願望

堅実な努力を積み重ねることで、これまで願ってきたことがようやく叶う。

 

恋愛・関係

これまで出会いに恵まれなかった人に新しい出会いがある時。

内面も外見も明るく振る舞うと吉。

ただし、調子に乗って浮気がちになると、身近な人と別れることになりかねないので注意すること。

 

結婚

積極的に縁談をまとめるのが良い。

ただし相手の内面もしっかりと確認すること。

外見だけで選ぶと後悔する。

 

性格

しっかりと前進していく性格。

秀才で明るく、人に好かれる人。

 

事業・方策

新規事業を始めるチャンス。

ただし、足を地に着けて内部を充実した上で動くこと。さもないと苦労ばかり多く利益は薄い。

 

住居

新築、改築、移転、どれも良い。

朗報が舞い込む時。

 

相場

これまで停滞していた場合はこれから上昇傾向。

しかし飛躍的に高くなるわけではないので、高望みはしないこと。

 

旅行

楽しい旅行となる。

 

病気

頭痛、発狂、日射病、風邪などによる熱、心臓疾患、伝染病など。

落ち着いていた病勢が急に悪化することがあるので注意すること。

 

火地晋の爻辞

※爻は下から数え、九は陽・六は陰を表す
 (例えば「初九」は一番下の陽の爻のこと)

初六

晋如(しんじょ)たり摧如(さいじょ)たり。貞(ただ)しければ吉。孚(まこと)とせらるる罔(な)きも、裕(ゆたか)なるときは咎(とが)なし。

(進もうとするも打ちひしがれる。しかし、自分の正道を守り続ける態度があれば最後には吉となる。たとえ他人に信じられなくても、心が豊かであれば咎めはない。)

→ 行く先は正しいのだが機が熟していないため、今は準備に徹する時。思わぬ妨害に負けずに、信念を保ち続けること。

 

六二

晋如(しんじょ)たり愁如(しゅうじょ)たり。貞(ただ)しければ吉。玆(こ)の介(おお)いなる福をその王母(おうぼ)に受(う)く。

(進もうとするも前途の困難さに憂いを抱かずにはいられない。しかし、自分の正道を守り続ける態度があれば最後には吉となる。祖母から大きな福を授かるだろう。)

→ 前途に希望が見えるが障害が多いため、機が熟すのを待つべし。信念を持ち続けていれば、目上の人間(特に女性)からの寵愛を受ける。

 

六三

衆(しゅう)允(まこと)とす。悔(くい)亡(ほろ)ぶ

(不当な地位にあっても、大衆(初六・六二)に信用されることで上手く行く。そうすれば悔いは未然に滅びるだろう。)

→ 周囲の人間や部下からの協力を得ることが成功に繋がる。誠意をもって進むことで運気が上昇していく。

 

九四

晋如(しんじょ)たる鼫鼠(せきそ)。貞(ただ)しけれど厲(あやう)し。

(徳もないのに不当に高い位置にいる様は、昇り進んできた野ねずみのようである。たとえ行いが正しくても、前途は危うい。)

→ 隠し事や不正がある時。誤った方針を改めることが必要。さもなければこれまでの努力は無駄となるような失敗・損失が訪れる。

 

六五

悔い亡ぶ。失得(しっとく)恤(うれ)ふるなかれ。往(ゆ)くときは吉にして利あらざるなし。

(当初予想された悔いはなくなる。損得を気に掛ける必要もない。前進すれば吉であり、何をしても利益があるだろう。)

→ 消極策より積極的に物事を推し進めることで吉を得る。多少の損得は気にせず、目標に向かって突き進むべし。

 

上九

その角(つの)に晋(すす)む。維(こ)れ用(もっ)て邑(ゆう)を伐(う)つ。厲(あやう)けれど吉にして咎(とが)なし。貞(ただ)しけれど吝(りん)。

(一番高い位置にあり剛強の象徴である角を用いて進む。この角のようなかなりの剛強さをもって自領の村の反乱を討伐すれば、行いは危ういが吉であり咎めはない。ただし、正しいことには違いないが、恥ずかしいことである。)

→ 大義名分があるとしても、やり過ぎにならないよう注意すること。成功は収めるが、トラブルが発生する恐れあり。寛容な精神を持つべし。

 

(参考:鹿島秀峰「現代易占詳解」、本田濟「易」ほか)

  • この記事を書いた人

しんのすけ

1986年、愛知生まれ。アメリカの大学卒業。金融危機下でなんとか就職するも、会社の歯車として働くことに疑問を感じていた。その後「やりたいことをやる」という信念のもと、現在に至るまで7社5職種+独立・起業のキャリアを経験。プライベートでは易学の研究や中国語の勉強も。台湾が大好き。

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