キーポイント
鼎(かなえ)は古代中国で使われた三本足の釜です。
生ものや硬いものを鼎で煮ると、美味しく柔らかいものに変わります。
物事は徐々に熟成されて良くなるので、焦る必要はなく、機が熟すのを待つのが良いでしょう。
火風鼎(かふうてい)について
卦辞(火風鼎の概要)
鼎(てい)は、元(おお)いに亨(とお)る。
鼎(てい)において、願い事は大いに叶う。
六十四卦における配列(序卦伝)
物を革むるものは鼎(かなえ)にしくはなし。故にこれを受くるに鼎(てい)をもってす。
物を新しく変えるものは鼎(かなえ)のほかにない。ゆえにこれを受けるに鼎(てい)をもって表す。
火風鼎の占考
関連ワード
熟する、成熟、内面を新しくする、新しいものを得る
運勢
内面を新しくする時。
新しく始めたことが既にあるなら、それを成熟させるべし。
焦らずにゆっくり変えていくのが良い。
願望
今は未熟だが、時間を掛けて成熟させることで叶う。
物事を進める場合は、慎重に検討すること。また、一人で進めるより三人で進める方が良い。
恋愛・関係
安定しているように見えるが内面に問題を抱えており、心変わりがある時。
第三者が介入して関係が崩壊しやすい。
お互いにじっくりと話し合って調和を図ること。
結婚
急にはまとまらないが、徐々に調和して吉。
婚後は経済的にも恵まれて楽しい生活を送ることができる。
ただし、異性問題の発生に注意。
性格
柔和で人に従って行動する性格。
ゆっくりだが着実に物事を変えられる人。
調理が得意な人。
事業・方策
社内整備を進める好機。
労働環境の改善や人材の登用を行うと効果的。
三人で共同事業を始めるのも良い。
住居
改装や改築など、内部を改善するのが良い。
移転は凶。
相場
上下しながらも高値圏で安定する。
内在していた好材料が表面化すると更に上昇する。
旅行
心身ともに一新できる良い旅行となる。
念入りに計画を立てると良い。
病気
目の感染症、伝染性熱病、心臓・胸部の疾患など。
病勢は徐々に悪化していく。
火風鼎の爻辞
※爻は下から数え、九は陽・六は陰を表す
(例えば「初九」は一番下の陽の爻のこと)
初六
鼎(かなえ)趾(あし)を顚(さか)しまにす。否(ひ)を出(い)だすに利あり。妾(しょう)を得てその子に以(およ)ぶ。咎(とが)なし。
(鼎の足が逆さまになる。鼎がひっくり返ることで悪いものを中から出すことができるので良い。妾は賤しい存在だが、妾によって世継ぎとなる子を得る。咎めはない。)
→ 内部の不要なものを取り除くべき時。目上の助力を得るとよい。大きな目的を達成するためには多少邪道な手段を選んでも問題はない。
九二
鼎(かなえ)に実(じつ)あり。我が仇(あだ)疾(やまい)あり、我に即(つ)く能(あた)わず。吉なり。
(鼎に中身が充実している。自分を病に染まらせようとする者がいるが、自分に取りつくことはできない。吉である。)
→ 才能を発揮する時にこそ障害が生じやすい。悪い方向に誘うような人間が身近にいる場合もある。身の回りの良くないものを排除しながら、慎重に進む道を決めることで吉を招く。
九三
鼎(かなえ)の耳革(あらた)まる。その行(みち)塞(ふさ)がる。雉(きじ)の膏(あぶら)あれども食(くら)われず。方(まさ)に雨ふらんとして悔いを虧(か)く。終(つい)に吉。
(鼎の取っ手である耳が取れてしまい、鼎を持ち上げて動かすことができない。最も美味である雉の脂身を食べることができない。しかし正しい態度を維持していれば、雨が降って物事が親和する。そうすれば後悔をすることもなく、最後には吉を得るだろう。)
→ 内容は良いが手段を誤り、成功する道が見えなくなってしまう時。もちろん報奨を得ることもできない。謙虚で柔和な態度に改め、それを維持することで、最後には吉を得ることができる。
九四
鼎(かなえ)足を折る。公の餗(こながき)を覆(こぼ)す。その形渥(あく)たり。凶。
(鼎の足が折れて、中に入っている御馳走がひっくり返ってこぼれてしまう。鼎自体もびしょ濡れになる。凶である。)
→ 重大な任務を任されるが、力不足で失敗してしまう。自信過剰や注意不足によって大きな損害を被る可能性がある時。
六五
鼎(かなえ)黄耳(こうじ)あり金鉉(きんげん)あり。貞しきに利あり。
(鼎の耳に金輪が通される。正道を守ることで利がある。)
→ 信頼できる部下や後輩がやってきて、何事も上手くいく時。ただし、油断はせずに謙虚な姿勢を忘れないようにすること。
上九
鼎(かなえ)玉鉉(ぎょくげん)あり。大吉。利あらざるなし。
(鼎に宝石で作った輪が通っている。大吉である。何事においても利がある。)
→ 新しく始めたことがようやく実って成功を収める。大いに繁栄する時。ただし、驕ることがないように注意し、強く優しい人物でいるように心掛けること。
(参考:鹿島秀峰「現代易占詳解」、本田濟「易」ほか)