キーポイント
離(☲)の知恵と、震(☳)の俊敏な動きを合わせることで、物事を成功させられるでしょう。
稲穂が豊かになると垂れ下がるので、そのまま放置すると腐ってしまいます。
盛大な状態を過ぎれば衰退へと向かうので、知恵と俊敏さをもって対応しなければ豊かさを保つことはできません。
現在豊かであっても、油断すれば凶。いずれ来る衰退を防ぐよう努力を怠らないことが重要です。
雷火豊(らいかほう)について
卦辞(雷火豊の概要)
豊は、亨(とお)る。王これに仮(いた)る。憂うるなかれ、日中に宜(よろ)し。
豊では、願いが叶う。最も豊かで盛大な状態には、王者のみが到達することができる。難しいことではあるが、太陽が中天で輝き続けるような状態を維持できるのであれば、心配することはない。
六十四卦における配列(序卦伝)
その帰する所を得る者は必ず大なり。故にこれを受くるに豊(ほう)をもってす。
(雷沢帰妹によって)帰るところがある者は必ず大きくなる。ゆえにこれを受けるに豊をもって表す。
雷火豊の占考
関連ワード
盛大、豊か、盛衰、現状維持に努力する、油断大敵、飽和
運勢
運気盛大な時。しかし、今がその頂上であるため、次第に運気は下降していく。
謙遜・倹約の姿勢を保って、現状を維持することに努めること。
そうすればいずれ来る衰運に対応することができる。
願望
誠実さを保ち、知恵と行動力を駆使すれば叶う。
油断や邪心は失敗のもと。
恋愛・関係
熱し過ぎないよう注意すること。
熱中することで、相手が現実より良く見えたり、金銭不足に陥ったりしてしまう。
今が絶頂期であり、この先不和となる可能性あり。
結婚
恵まれた縁談のように見えるが、お互いに疑惑や隠し事あり、調和に時間が掛かる。
衰運のきっかけとなるような喧嘩やトラブルに注意すること。
性格
才知あって行動力もある。
見栄っ張りで浪費癖のある人。
豊かな家に育って傲慢な人。
事業・方策
大きな利益を追うことを止めて、現状維持に努めるべし。
事業拡大や新規事業は控えること。
住居
必要に応じて、改装や改築するのは良い。
移転は見送るべし。
相場
勢いよく高騰するが、間もなく最高値となったあと大きく下落する。
注意を怠らないようにすること。
旅行
しっかりと計画を立てた上で旅行するのが良い。
思いつきで旅に出ると凶。
旅先での争いごとや浪費に注意すること。
病気
目の疾患、大熱、心臓・血の諸病、精神異常、神経系統の疾患など。
突発的に悪化するなど急変あり。危険が伴う。
雷火豊の爻辞
※爻は下から数え、九は陽・六は陰を表す
(例えば「初九」は一番下の陽の爻のこと)
初九
其(そ)の配主(はいしゅ)に遇(あ)う。旬(じゅん)といえども咎(とが)なし。往けば尚(たっと)ぶことあり。
(自分の配偶となる主人に会う。会う日数が10日を超えても咎めはない。なぜならその主人のところに行けば大切にされるからである。)
→ 自分のことを重宝してくれるような目上の人を見つけること。その人の意見や忠告に従うと良い。
六二
其の蔀(しとみ)を豊(おお)いにす。日中に斗(と)を見る。往けば疑疾(ぎしつ)を得(え)ん。孚(まこと)ありて発若(はつじゃく)たれば、吉なり。
(日よけのすだれを大きくする。日中に北斗七星が見えるほどに暗くなる。この暗い中で、進んで人に会おうとするなら疑われ憎まれるだろう。しかし、誠意を尽くして相手の心を開くことができれば吉である。)
→ 自分の親切心や善意が勘違いされて、特に目上の人から誤解を受ける。それでも誠意をもって相手に接することができれば問題はない。吉を得る。
九三
其の沛(はい)を豊(おお)いにす。日中に沬(まい)を見る。其の右の肱(ひじ)を折る。咎(とが)なし。
(長い幕をさらに大きくする。日中に小さい星が見えるほどに暗くなる。大事な右ひじが折れたようなもので、自分の力量を発揮できない。しかし、この暗い中で努力をしたのだから、咎めはない。)
→ 進退に苦しむ時。タイミングや条件が悪く、自分の力量を発揮できない。しかし、努力が無駄になるわけではないので、分相応な行動を心掛けて好機を待つこと。
九四
其の蔀(しとみ)を豊(おお)いにす。日中に斗(と)を見る。其の夷主(いしゅ)に遇(あ)えば、吉なり。
(日よけのすだれを大きくする。日中に北斗七星が見えるほどに暗くなる。自分と同等の徳を持つ主人に会い、協力することで吉を得る。)
→ 目上の人は信頼できないので、目下や年少の賢人と協力するのが良い。そうすれば吉を得る。
六五
章(しょう)を来(きた)せば、慶誉(けいよ)あって、吉なり。
(美徳を持つ下位の賢人を自分のところに招くことができれば、慶福と名誉によって吉を得る。)
→ 美しさや華やかさを表現するのに長けた人物に情報を発信してもらうと良い。そうすることで吉を得て、大いに成功する。
上六
其の屋(おく)を豊(おお)いにす。其の家を蔀(しとみ)す。其の戸(こ)を闚(うかが)うに、闃(げき)として其れ人なし。三歳まで覿(み)ず。凶。
(屋根を大きくする。その家の日よけのすだれを使ってさらに覆う。扉から中を窺うと、静まっていて人の気配を感じられない。三年経っても家の中から出てこない。人に会うことなく孤立している。凶である。)
→ 協力者や親しい友人も失い、孤立する。運気が上昇していた時に、衰運の対策をしなかったことが原因である。大いに反省し、次の好機に備えること。
(参考:鹿島秀峰「現代易占詳解」、本田濟「易」ほか)